江戸川水閘門の改築 II期新水門の設計着手(江戸川河川)

[2025/5/20 千葉版]
 国土交通省江戸川河川事務所は、改築する江戸川水閘門について、新たな水門の詳細設計業務に着手する。II期工事となるもので、現水門の下流側に3門新設する計画。I期の水閘門改築工事はECI方式で大林組(東京本店・東京都港区)が受注し、準備工事を進めている。

 江戸川水閘門の改築は3期に分けて工事を進めていく。I期で水閘門、II期で水門、III期ですりつけ堤防のほか、既存の閘門や水門の解体・撤去などを計画している。想定される工事スケジュールをみると、I期は2028年度の完成を目指す。その以降のII期は28~31年度、III期は31~33年度に予定されている。

 江戸川河川事務所は「R7江戸川水閘門改築及び周辺整備検討業務」の委託先を選定する簡易公募型プロポーザルの手続きを開始した。同業務では、II期工事の詳細設計のほか、新水閘門の操作施設やすりつけ堤防の検討を進めていく。

 プロポの参加資格として、「土木関係建設コンサルタント業務」に関する一般競争(指名競争)参加資格の認定を受けていることのほか、業務実績として水門または閘門(陸閘を除く)の設計を行った業務を求めている。6月4日まで参加表明書と技術提案書を受け付けている。

 II期工事で新設する水門は3門で純径間17m。全体の施設規模は幅51m、扉体の高さ10.4mを想定している。事業手法はI期工事で採用したECI方式などを含め、検討しているという。

 I期工事は大林組が72億0500万円で受注した。鋼管矢板で仮締め切りする必要があるが、施工ヤードが軟弱地盤となっており、仮設構造が複雑になることが想定されている。

 これらの厳しい現場条件を踏まえながら詳細設計を進めていくためには、施工者の高度な技術力を活用した施工計画の検討や工法の選定が必要となるため、ECI(アーリー・コントラクト・インボルブメント)方式を導入している。

 この方式では、プロポーザルで選定した優先交渉権者と技術協力業務の契約を締結。基本協定に基づき、価格などの交渉を実施し、交渉が成立した場合、工事の随意契約相手として特定する。

 江戸川水閘門は市川市と東京都江戸川区の境にあり、江戸川放水路分派後の旧江戸川上流端に位置する。竣工してから約80年が経過し、施設全体の老朽化が進み、ゲート操作に支障となる不具合が多発している。

 洪水時にゲート操作ができなくなった場合、せき上げにより上流の水位が上昇し、堤防決壊による氾濫の危険性が高まるため、全面的な改築を進めている。

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