来年夏に改修着工 栃木文化会館 工事費約64億円を試算(栃木市)

[2025/5/20 栃木版]

 栃木市は、栃木文化会館の施設整備設計案をまとめた。それによると、大小ホールで天井耐震化や座席改修、照明器具LED化や太陽光発電設備等の脱炭素化、舞台設備の改修、トイレの洋式化と増設、現事務室のトイレへの改修、あさひ公園の駐車場への整備などを行う。事業スケジュールは、26年2月までに設計を策定した後、26年7月から28年9月までの期間で工事を実施する。工事費は、64億3000万円と試算している。

 栃木文化会館は1983年度の建設で、RC造一部S造地上3階・地下1階建て・延床面積8090平方mとなっている。施設内には大ホールや小ホール、大会議室、会議室、応接室、和室、展示室、練習室、楽屋などを設けている。

 市は文化会館について、長寿命化を図りながら中長期に使用することとし、必要となる施設改修や設備改修を行い、利用者の利便性向上や脱炭素化等の課題にも対応する、大規模改修を進める方針を示した。大規模改修の基本設計および実施設計は、フケタ設計(宇都宮市)が担当している。

 施設の全体改修では、内装アスベスト含有材を撤去して新規の仕上材に改修する。外壁はひび割れなどの下地補修、欠落部への新規タイル張り、既存タイルを生かす色調保持型タイル剥落防止工法の採用を行う。大・小ホールの舞台床は、県産木材の使用を計画する。

 天井の耐震化では、大・小ホールを現状と同じ仕上・形状に復旧し、準構造化天井の工法を採用する。玄関ホールは、人的被害を最小限に抑えられる軽量天井システム工法を採用する。

 電気設備は、照明器具をLED化し、太陽光発電設備を設置するほか、災害時に備えて非常用発電設備を整備する。安全の確保では、事務室で保安・防災システムを一元管理する計画とする。空調設備は、マルチ式空冷ヒートポンプパッケージエアコンを設置する。大・小ホール系統は、熱源を空冷モジュールチラーによる空調機およびファンコイルによる空調方式とする。温度・湿度制御は、各室ごとに行う。

 換気設備は、シックハウス対策用換気は各系統排気を利用し、全熱交換機を積極的に採用する。自動制御設備は省力化・省エネ化を図るため、1階中監盤室に中央監視装置を設置する。

 給水設備は受水槽+圧力給水ポンプユニット方式とし、地下にSUS製組立型受水槽を設置する。既存の高架水槽は撤去し、給水配管はすべて更新する。排水設備は屋内汚水・雑排水分流、屋外合流方式とし、放流先は既設の汚水桝とする。排水管はすべて更新する。

 舞台設備のうち、照明はLED光源を採用した設備に更新する。舞台映像はリモートカメラシステムを採用し、大ホールに高輝度・高解像度プロジェクター、小ホールに高解像度プロジェクターを設置する。舞台音響設備は、デジタル化する。

 大・小ホールの客席は座席幅を480mmから500mmに拡大し、座席幅と通路幅を確保する。大ホールは1198席から1092席、小ホールは398席から380席に変更する。

 内装は、適正な照度を確保する照明計画とし、床カーペットを全面更新する。大ホールのシーリングスポット室は間仕切りを設置して、中央に小部屋を設ける。小ホールにはピアノ置場を設置し、断熱性の高い間仕切を整備して新たに空調設備を設置する。

 トイレは増設、洋式化、個室スペースの拡充、ベビーシート・ベビーチェアの充実、手すりの設置などを行い、女子便所が洋便器53基、男子便所が洋便器23基・小便器37基とする。現事務室の場所をトイレに改修し、新事務室は現大会議室に移動する。新台会議室は、事務棟2階の食堂に移動する。男女トイレのほか、車いす用やだれでもトイレなども設置する。

 駐車場は、文化会館北東のあさひ公園を駐車場に整備する。駐車ますは奥行や車路幅を確保したものとし、現在の335台から338台(身障者用含む)に変更する。通路には、案内看板を設置する。駐車場には雨水貯留槽を設置し、各出入口には横断側溝を整備して貯留槽に接続させる。

 概算工事費は、64億3000万円を見込んでいる。内訳は、建築が11億8100万円、電気設備が10億6500万円、機械設備が18億円、舞台設備が16億2200万円、外構が1億5500万円、その他(共通仮設工事、現場管理など)が6億0700万円とする。

 工事期間は、大ホールが26年8月から27年2月まで調査・撤去工事、27年4月から28年2月まで天井下地補強・天井仕上改修・壁仕上改修、28年4月・5月に床仕上改修、28年6月・7月に座席位置調整とする。小ホールは26年10月から27年3月まで調査・撤去工事、27年6月から28年3月まで天井下地補強・天井仕上改修・壁仕上改修、28年5月・6月に床仕上改修、28年7月に座席位置調整となっている。

 舞台設備は26年9月から27年3月まで調査・撤去工事、27年7月から28年4月まで舞台機構・舞台照明・舞台音響改修とする。各所室は26年7月から27年6月まで調査・撤去工事、28年1月から8月まで床仕上改修となっている。

 電気設備は26年10月から27年6月まで調査・撤去工事、27年7月から28年3月まで電気設備改修(幹線・照明など)、28年1月から3月まで太陽光発電設備設置、28年4月から7月まで受電設備改修とする。機械設備は26年10月から27年6月まで調査・撤去工事、27年7月から28年8月まで機械設備改修(空調・給排水設備・消防設備など)となっている。

 施設外部は、27年5月から28年1月まで外壁改修や屋上防水改修とする。外構は27年4月から27年8月まで調査・撤去工事、27年9月から28年12月まで雨水浸透槽設置、28年1月から3月までアスファルト舗装、28年4月・5月にインターロッキング舗装を実施する。

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