宮城県が完全週休2日導入 本年度から試行へ検討中 東北土木部長会議で説明
[2025/5/23 宮城版]
本年度春季の北海道・東北地方ブロック土木部長等会議が21日、山形県内で開かれた。国土交通省や東北6県、仙台市が品確法の改正を踏まえた取り組み状況などを伝え合った。宮城県は週休2日工事に関し、本年度から週単位の週休2日(完全週休2日)を導入する方向で検討していることを紹介。猛暑日の施工に関しては現場実態と施工歩掛にかい離が見られるため、制度の改善を検討する必要があるとした。
会合には国交省から大臣官房の奥田晃久技術調査課長ら4人、東北地方整備局と北海道開発局から計14人が出席。東北6県と北海道、仙台市、札幌市からは部長級の9人が顔を揃えた。
会議では本省議題として▽予算の執行促進策と執行上の課題▽品確法改正を踏まえた取り組みの推進▽第2世代交付金を活用したインフラ整備事業――について話し合ったほか、地方議題として昨年秋季の同会議で合意した事項に関する進捗を報告した。
予算の執行に関しては、仙台市が都市部の工事で狭い場所や支障物があり、発注しても不調・不落になりやすい状況を説明。地下埋設物工事は約5割、建築工事は約3割が不調・不落だとした。対策としては見積もり活用方式の採用や、地域要件・現場代理人の要件緩和を考えているとした。
改正品確法のテーマでは、働き方改革に向けた週休2日工事に関し、宮城県が昨年11月から「月単位の週休2日」を導入したことを紹介。本年度はさらに休日の質を向上させるため、完全週休2日を導入する方向で検討していることを明かした。その際、受注者希望型が想定されるものの、実際にどうするかはこれから決めるとした。
宮城県は熱中症の問題についても取り上げ、地元業界団体から「猛暑日により1日の稼働時間が著しく減少し、施工歩掛とかい離が生じている」などの意見が上がっていることを紹介。引き続き意見交換などを通じて、制度の改善を検討する必要があるとした。
仙台市は昨年度から猛暑による作業不能日を考慮した工期設定になるよう、要領改正に踏み切ったことを報告。ただし、そうした工期を設定しても、それが工事費に反映される要素が少ないと問題提起した。
現状では猛暑下での作業そのものを禁じる法令もないため、施工業者が休工を選択せずに熱中症対策を講じて作業を継続するケースも多いと説明。この場合、休憩時間・回数の確保が多くなり、施工効率が著しく低下するものの、猛暑に起因した日当たり施工量の低下の影響を現行の積算基準では考慮できるものがないと指摘した。
担い手確保の問題では、宮城県が外国人の雇用に力を入れていることを紹介。昨年9月にインドネシア人を対象としたジョブフェアを開催したところ、46法人が参加したという。建設業は7法人が参加し、50人を募集したところ、100人を超える希望が寄せられたという。本年度も8月20日にインドネシア人材のジョブフェアを開催するとした。
第2世代交付金については、地方創生に向けた公共事業や拠点整備事業とソフト事業を組み合わせた一体的な事業を支援するもの。地方公共団体が自由度の高い事業を行うことが可能となっており、国が第2回募集への応募を呼び掛けた。第2回募集は6月下旬に締め切り、夏ごろに交付決定する。