病床100床以上で病院誘致 来月5日に公募開始(富谷市)
[2024/5/29 宮城版]
富谷市は、病院の誘致に向けて事業候補者の募集要項案を公表した。主な公募要件は、開院時の病床数を100床以上とすることや、複数診療科の外来・入院機能や二次救急医療機関としての機能を持つことなど。土地は無償で貸し付ける。今後は6月5~20日に参加申請書、7月22日まで応募書類を受け付け、選定委員会での審査を経て8月19日に事業候補者を決定、翌20日に公表する予定だ。
病院誘致の目的は、救急・急性期を担う総合病院がない富谷市をはじめ、救急搬送時間が長時間化している富谷・黒川地域の住民の生命・健康を守るため。富谷・黒川4市町は、公立黒川病院や黒川医師会と連携・協力し、新病院を含めた病院連携と地域連携のための「医療連携支援等プラットフォーム」を構築する。
誘致場所は同市明石台10丁目46他で、敷地予定面積が6万3414平方m(うち市の取得済み面積が5万4369平方m)。医療福祉施設用地として造成済み。用途地域は第一種中高層住居専用地域。建ぺい率は60%、容積率が200%。最大可能延床予定面積は12万6828平方m。
敷地の南側は幅員25mの市道宮沢根白石線、西側が幅員12mの市道明石台12-4号線に接している。敷地内の既存インフラは、管径100mmの水道管が1カ所、200mmの汚水管が1カ所、雨水桝が3カ所など。敷地への既存乗入口は南側に2カ所ある。
公募の参加資格は、提案病床数に相応する病床を現に仙台医療圏内に有していることなどにより、地域医療計画や地域医療構想上の病床数の制約がある中においても、公募条件を満たす病院を開設できることなど。
公募条件を見ていくと、開院目標は可能な限り早期を目指すこととし、具体的な開院目標時期を提案の中で求める。
必須となる医療機能は、内科や外科を中心に複数診療科を設け、外来と入院の機能を持つこと、二次救急医療機関の機能を持つこと、災害時における医療機能を確保できること、新興感染症の感染拡大時に適切に対応できる体制を確保することなど。
望ましい機能は、他の医療機関等と積極的に連携・協力を図ることや、地域医療連携の推進に努めること、住民の健康づくりに資すること、精神科外来を設置することなど。
土地は使用賃貸借契約により貸し付ける。貸付期間は30年間。土地の貸付料は無償で、貸付期間満了時に契約更新後の取り扱いを協議する。
市からの支援では、新病院整備費や運営費の一部を補助するほか、仙台市地下鉄泉中央駅と誘致病院間のシャトルバス運行などを行う。さらに、県からの財政支援を要請している。
公募に関する質問は6月27日まで受け付ける。選定委員会は7月30日にヒアリング、8月19日に二次審査を実施する。
仙台医療圏では、県の4病院再編構想によって、東北労災病院と県立精神医療センターを合築し、富谷市に移転するはずだったが、東北労災病院を運営する労働者健康安全機構が5月に移転を断念。県は精神医療センターを名取市内で建て替える方針に転換した。富谷市はこれを受け独自に総合病院を誘致することにした。
若生裕俊富谷市長は28日に記者会見を開いて病院誘致の募集要項案を説明した上で、「市民や黒川地域の長年の課題で、生命に関わる問題。なんとか病院が誘致できれば公共交通の利便性向上は必要になるので、そこ(モノレールなど公共交通システムの整備)も努力したい」と意気込んだ。