9河川で河道掘削 流域治水 日立市は数沢川など改修(県二級水系協議会)

[2025/6/14 茨城版]
 県二級水系流域治水協議会は5月30日、県高萩工事事務所で本年度の会合を開催した。県や日立市、高萩市、北茨城市、東海村の関係者らが出席し、令和5年台風13号の被害に伴う緊急対策の進捗状況などを確認。本年度の流域治水の取り組みについても協議を行った。本年度、県は3河川の調節池整備、9河川の河道掘削などの設計を進める。日立市では数沢川の改修工事、高萩市では境川の浚渫などを行っていく。

 令和5年台風13号では県・市が管理する河川のうち計75カ所で被災。県では特に被害の大きい9河川で緊急的に対策を実施した。

 二級河川における対応として、昨年度は全28河川の洪水浸水想定区域図を公表。里根川、東連津川、鮎川では監視カメラを設置し、6月に稼働を開始している。

 本年度の取り組みとして、里根川、関山川、関根川の3河川では調整池の整備を進めるため、河川整備計画の変更に向けた国との協議や現地説明会を実施。測量・地質調査、設計に着手する。

 里根川、関山川、江戸上川、塩田川、関根川、東連津川、宮田川、鮎川、大沼川の9河川では河道掘削を行うことから、昨年度に引き続き必要箇所の設計を策定する。このうち、里根川と大沼川、鮎川では工事を推進。

 関山川と塩田川では流出抑制対策を図るため、宅地開発調整池など既存調節池の活用拡大を検討。本年度は測量・地質調査、設計にとりかかる。

 関係市における対策として、日立市では昨年度に25-44年度の20年間を対象期間とする流域治水計画を策定。氾濫の防止や被害の減少・軽減、早期復旧・復興に向けた施策を定めた。本年度は数沢川の改修工事を予定している。今後は庁舎浸水の要因となった数沢川と平沢川の合流部の改修なども実施する。

 高萩市では引き続き玉川の改修事業計画の作成を進める。業務では延長1.4km(流域面積約413ha)の測量調査や流域分割界の検討、計画高水流量検討、改修方策の検討を行っている。また、境川などの浚渫にも取り組む。

 北茨城市では里根川流域の上流部となる関本町富士ケ丘地区の一部で、田んぼダムを導入。地権者や耕作者が仕組み・効果を理解しやすいように、落水桝や排水路の視認性が良く道路沿いに隣接した田を選定した。同意が得られ次第、本格的に導入を開始する。

 流域治水プロジェクトは県内の関係機関が連携し、事前防災対策を進めているもの。県では大北川と支川で河道の流下能力向上を図るため、土砂掘削、樹木伐採により推移低減を図るほか、堤防整備を実施する。また、土砂災害対策として砂防関係施設の整備・維持管理などを行う。

 茨城森林管理署と県では土砂流出防止や水源涵養機能などを目指し、森林整備・治水対策を推進。24年度は267haの森林整備、3カ所の山腹崩壊地整備を実施した。日立市、高萩市、北茨城市では立地適正化計画を策定し、リスクが高い区域における立地抑制、移転誘導を図る。

 このほか、日立市、北茨城市、東海村では浸水被害権限のため、住宅の雨水貯留槽の設置に対し補助金を交付。高萩市では迅速な災害対策や地域の情報発信に努めるため、関根川流域など22カ所でワンコイン浸水センサの設置を始める。

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