烏山城跡を保存・活用 広場やガイダンス施設など整備(那須烏山市)
[2025/6/14 栃木版]
那須烏山市は、史跡烏山城跡保存活用計画をまとめた。計画期間は2025年度から38年度までで、期間内に防災・減災・防犯設備の整備、樹木の伐採等の自然環境の整備、多目的広場の整備、トイレ等の便益施設の設置、ガイダンス施設の整備などを行う。今後は発掘調査を経た後、29年度までに整備基本構想や基本計画を策定し、30年度から38年度までに基本設計、実施設計、整備工事設計を策定する。
烏山城跡は、自然地形を利用した難攻不落の城として、15世紀後半から400年以上使われた保存状態の良好な城跡となっている。史跡指定の範囲は、本丸等の五城三郭と呼ばれる主郭部分を中心とした北側の約25万平方mで、南側も将来的に追加指定を目指していく。市は烏山城跡の保存管理を行うとともに、城跡と関連する地域の文化遺産との連携を図って地域資産としての価値を高め、継続的かつ計画的な活用や整備を行う。
保存管理について、日常的な維持管理では必要に応じた防災・減災の設備を設置し、作業用通路も登城口を中心に検討する。植生は危険木の伐採、樹木の間採・剪定・間伐、草花の植栽などを行い、騒音対策で住宅地の緩衝帯となるような樹木植栽・伐採などを実施する。工作物等は新たな設置を行わず、既存施設の補修・改修にあたっては史跡指定地外への移設を検討する。
現状の史跡指定地は大部分が民有地であることから、必要に応じて公有地化を図っていく。
史跡の整備にあたっては、北西部や史跡内の通路周囲を体感ゾーンとし、デジタル端末による復元を行うことから通信網の整備が必要だとした。通路は、間伐材利用も検討した整備を実施する。石垣は、破損部分の修理に止める。
中央西側の三の丸跡を中心とした活用ゾーンは多目的広場の整備を目指し、史跡標柱や便益施設の設置を検討する。体感ゾーン・活用ゾーン以外は、保存ゾーンとし、周辺道路や住宅地との緩衝帯となるような樹木植栽・伐採などを行う。
史跡の保存整備については、石垣を危険度の高いものから整備し、石垣の歪み等の計測も検討する。曲輪は、土砂流出による毀損が見られる箇所で復旧を行う。通路の整備にあたっては、盛土の上に階段やロープ等を設置し、既存の恐れのある箇所は盛土や階段等による対策を検討する。
防災・減災等に向けては、ハザードマップ情報案内の整備、防火・防犯の啓発や注意の標示、防犯設備の整備などを行っていく。植生管理では、危険度の高い樹木から伐採等を行い、樹種転換などのほか、防災対策や景観づくり等の観点から急傾斜地で林床植物の繁茂を検討する。
史跡活用のための施設としては、史跡の説明板・解説板等のサイン類に史跡の価値を的確に伝えるサインを設置し、遺構の平面標示も検討していく。便益施設としては、体感ゾーンにあずまや・ベンチ・トイレ等を設置し、指定地外で駐車場も整備する。
このほか、城跡の歴史や遺構、出土遺物等を紹介するガイダンス施設の設置を検討する。設置箇所は、史跡指定地近隣の東山麓を想定し、烏山の歴史文化の紹介・情報提供スペースのほか、グッズ等の販売場所の設置も検討する。