競馬場跡地が優位に 新庁舎・市民会館 整備検討の結果を公表(足利市)
[2025/7/10 栃木版]
足利市は、(仮称)新足利市民会館および市役所本庁舎等整備に向けた検討業務委託業務の報告書を公開した。それによると、市庁舎と市民プラザを複合化して現市役所敷地、または市民プラザ敷地に整備した場合は建替え手順を踏む必要があり、市役所敷地の場合は、さらに2敷地に分かれるなど複合化メリットの適用度合いが低く、工期とコストが増大すると判断した。競馬場跡地に整備した場合、幹線道路、水害時安全性に問題があるものの、計画の自由度が高く、複合化メリットの適用度合い、工期、コストの面で他案に比べて優位だと結論付けた。
基本計画策定に向けて前進
複合化施設として整備の検討を進めていた敷地は、現市庁舎敷地(約1万7000平方m)、現市民プラザ敷地(約2万2000平方m)、競馬場跡地(約7万3000平方m)の3カ所。
現市庁舎や、現市民プラザの敷地で整備を進める場合は建替え手順を踏む必要があり、工期は市庁舎敷地で98カ月、市民プラザ敷地で130カ月を見込んでいる。整備する建物は、庁舎とホールの2施設に分ける必要がある。市庁舎敷地に整備した場合は、建物の延床面積を3万0800平方mと試算。また、市民プラザ敷地へ整備した場合は、3万1100平方mを予定する。
競馬場跡地に複合化施設を整備する場合は、一体的に施設を整備できるため複合化のメリットを大きく享受することができるとし、2施設の共有部分を多く計上することで延床面積を2万9200平方mと試算した。さらに、敷地に余裕があることから、ホールの席数を基本構想の1200席から300席増やして1500席として整備することも可能としており、この場合でも延床面積は2万9800平方mと計算している。ただしこの敷地では前提条件に1.4m程度の盛土が必要なほか、アクセス道路の桐生岩舟線の混雑率が高く、交通量増加への対策も必要となる。
駐車場については、建替え手順を踏む現市庁舎敷地と現市民プラザ敷地で地上平置きによる必要数の確保が難しいことから、地下駐車場や立体駐車場の整備が必要となる。競馬場跡地は、地上平置きで600台の駐車場を確保でき、また大型バスの転回も敷地内で可能であるとしている。
複合化するにあたっての施設の配置は、施設機能を積み重ねた配置では床上浸水の被害軽減や建築面積が抑えられる利点があるものの、並行配置による複合化施設の方が構造的合理性、利便性、経済性の面で優れるとしている。
また、両施設でそれぞれ現敷地での単独整備も検討しているが、その場合はいずれも建替え手順を踏む必要があり、複合化で共有化できる部分についても両施設に整備する必要があるため、工期とコストが大きく増大すると結論付けている。
市ではこの結果を踏まえ、今後は基本計画の策定を進めるとしている。