遊水地新設へ詳細設計 宮城県 大郷町の160haが候補地 吉田川中流部(北上川下流がプロポ)

[2025/7/10 宮城版]
 国土交通省北上川下流河川事務所は、鳴瀬川水系吉田川の中流部(大郷町)に遊水地を新設するため、詳細設計業務に着手する。遊水地の形や大きさを確定させるための業務で、簡易公募型プロポーザルにより委託先を決める。9日付でプロポの手続きを公告しており、8月21日まで参加表明書や技術提案書を受け付ける。詳細設計が完了した後は、用地調査や地元説明などを行い、事業化を目指す。

 吉田川中流部の遊水地は、2019年の東日本台風と同規模の洪水が発生した場合でも、中流部のピーク水位が計画高水位を下回るようにする目的で新設する。湛水容量は約700万立方mを想定している。

 新設場所は、東日本台風で堤防が破堤した箇所の対岸で、吉田川右岸となる。面積は大郷町内の160haが候補。現地は主に田んぼで、一部に住居がある。

 計画では既存堤防を一部切り下げて水が入れる越流堤にするとともに、その周囲を盛土して堤防を築き、水が溜められるようにする。堤防は遊水地と堤内地(宅地)を仕切る周囲堤や、川と遊水地を仕切る囲繞(いぎょう)堤で構成する。排水門は1カ所に整備する予定。

 堤防の高さや延長、形などは詳細設計で決める。形が決まった段階で既存の道路を寸断することになるようならば、今後に道路の付け替えも検討する。

 詳細設計業務は件名が「吉田川中流部遊水地詳細設計業務」で、河川構造物の設計をまとめるほか、水理模型実験を行う。履行期間は2026年8月31日まで。

 プロポで技術提案を求める評価テーマは「吉田川の河道特性と遊水地の施設計画を踏まえた水理模型実験計画を立案する上での着眼点」となっている。

 プロポの参加資格は単体企業か設計JVで、東北地方整備局から土木関係建設コンサルタント業務の資格認定を受けていることなど。

 遊水地の新設に向けては、予備設計業務を建設技術研究所(東北支社・仙台市青葉区)に委託した。業務内容は現地踏査、基本事項の検討、構造設計、施工計画案の検討、図面作成、概算工事費の算定など。現在も業務を継続中。この業務で遊水地のおおまかな位置や、越流部の形式などを決める。同社は概略設計業務も担当した。

 遊水地に設ける排水門の予備設計業務は別途、簡易公募型プロポーザルで委託する。月内にもプロポの手続きを公告する予定だ。

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