堤啓所長の就任インタビュー 未来へ誇れる道づくり 圏央道26年度の開通に全力 (千葉国道)
国土交通省千葉国道事務所長に7月1日付けで就任した堤啓所長が、本紙インタビューに応じ、「未来の子どもたちに誇れる道づくりを進めていきたい」と抱負を語った。圏央道の県内区間については、2026年度の開通に向け、全力で取り組んでいく考えを示した。
──これまでの経歴を。
「熊本市で生まれ、九州大学大学院で海洋システム工学を専攻し、卒業後に国土交通省に入省した。これまで金沢、新潟、函館、札幌、群馬など全国各地で勤務し、本省と地方の両方を経験している。特に道路計画関連の業務が多く、施策の具体化や国土強靱化実施中期計画の策定などにも携わってきた」
──印象に残っている仕事は。
「高崎河川国道事務所の所長時代に前橋市中心部で進めた五差路の交差点改良事業。単に交通の円滑化にとどまらず、地元の商店街や経済界を巻き込みながら、“まちづくり”に取り組んだ。交差点の一つが、まち全体の雰囲気を変える。その可能性に驚いた」
──千葉県との関わりと印象は。
「千葉県は房総半島を旅行したり、成田空港を利用したりした経験はあるが、勤務は初めて。湾岸部の工業地帯と房総半島の豊かな自然、この対比がとても印象的だ。交通面では生活道路と幹線道路が混在しており、通学路で渋滞が起こるなど、複雑な課題もあると感じている」
──就任の抱負を。
「圏央道の県内区間について、26年度の全線開通に向けて全力で取り組む。成田空港の関連事業などと連携しながら、しっかり役割を果たしていく。新湾岸道路や千葉北西連絡道路など、新たな道路計画も進んでいる。これらを通じて、未来の子どもたちに誇れるインフラを残していきたい」
──建設業界について。
「建設業界では、人手不足が深刻な課題。新3K(給料・休暇・希望)という言葉があるが、建設業は本当に魅力のある産業であり、未来を形づくるという大きな役割を担う大事な産業だと思う。業界の皆さんと連携しながら、担い手の確保にしっかり取り組んでいく」
「そのためにはICT施工の導入も不可欠だ。小さな失敗を恐れずに、どんどんチャレンジしてほしい。災害時には、地元建設業の皆さんが迅速に対応していただいている。地域の安全を確保するために、これからも連携体制を築いていきたい」
──気象予報士の資格をお持ちとか。
「大学時代、水理学を専攻していたことから気象に興味を持ち、函館勤務時代に資格を取得した。最近では、地球の限界(プラネタリーバウンダリー)という本を読み、地球環境への関心がより深まっている」
──趣味や好きな言葉は。
「山登りやジョギングなど、体を動かすことが好きで、時間があれば、アウトドア活動でリフレッシュしている。好きな言葉は〝一生懸命〟。シンプルだが、どんな仕事にも共通する大切な姿勢だと思う」
■プロフィル
つつみ・けい
1978年3月生まれの47歳。熊本市出身。2002年に九州大学大学院工学府海洋システム工学専攻を修了後、国土交通省に入省。本省道路局の企画専門官や高崎河川国道事務所長、内閣官房国土強靱化推進室の企画官などを経て、7月1日から現職。