砂防堰堤2基を整備 大越路沢 来年度から用地取得へ(鹿沼土木)

[2025/8/8 栃木版]

 県鹿沼土木事務所は、大越路沢(鹿沼市下粕尾地内)の砂防事業で設計をまとめ、このほど詳細設計説明会を開催した。それによると、2つの渓流それぞれに透過型砂防堰堤を整備し、渓流保全工や林道の付け替え道路整備も渓流ごとに実施する。本年度は、秋もしくは冬ごろに用地測量を行い、2026年度から用地取得を行って順次工事を実施する。

 利根川水系思川支流の大越路沢は、土石流危険渓流が東側と西側に2渓流あり、山が大雨にさらされると上流の土砂や樹木が流れて、公共施設では粕尾駐在所、日光森林管理署、鹿沼市消防団第12分団第一部詰所、鹿沼足尾線の延長150m、および人家28戸に被害が生じるおそれがある。

 このため県は、ハード対策で砂防堰堤等を整備する砂防事業に着手。20年度から現地の測量や地質調査、必要な施設の設計を進めてきて、昨年度に設計をまとめた。

 それによると、大越路沢の2渓流それぞれに砂防堰堤を1基ずつ設置する計画で、土砂や流木の発生状況から、砂防堰堤の型式は透過型を採用する。透過型砂防堰堤は、粒径の小さい土砂は流下させ、粒径が大きい土砂・立木などは堰き止めて下流域の土砂災害を防止・軽減する。

 東側の渓流には、幅71.4m、高さ14.1mの砂防堰堤を1基整備し、中央には鋼管の格子状のスリットを設ける。このほか、堰堤の下流には渓流保全工として、取合工(延長20.56m)、前庭工(同10.7m)、流路工(同16.2m)を整備。現在の林道は、砂防施設の整備で利用できなくなることから全長338mの付け替え道路を整備して、点検やたまった土石の除去、施設の補修作業などにも利用する。

 西側の渓流についても、東側と同様に鋼製スリットダムを整備する。規模は幅40.9m、高さ8.0mで、東側の3分の2ほどのサイズとなる。渓流保全工は取合工(延長16.78m)、流路工(同40.15m)、ボックスカルバート(幅12.0m、高さ6.0m、延長20.0m)で、付け替え道路は延長239.0mで計画する。

 鹿沼土木事務所では本年度、秋もしくは冬頃にも用地測量を行い、幅杭を設置して冬頃に境界確認を行う。26年度からは用地取得の手続きを進め、そのあと順次工事に着手する。

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