土地開発公社で造成 名取に工業団地を整備 本年度から基本設計(宮城県)
[2025/8/22 宮城版]
県は、名取市愛島塩手地区に新たな工業団地を整備し、大規模企業の誘致を目指す。場所は旧名取スポーツパーク跡地で、土地の取得予定面積が72.4ha。分譲予定面積は約40ha。事業主体は県土地開発公社。同公社が本年度に土地造成の基本設計を委託し、来年度までかけてまとめる。2027年度に詳細設計を委託し、29年度から造成工事を進め、34年度の造成開始を予定する。
工業団地の整備事業費は現段階で100億円台半ばを想定しているものの、まだ区画割りなども決まっていないため、今後に変更になる見込み。設計費や工事費などは県が予算措置し、同公社に貸し付ける。
同公社は競争入札で設計や工事を発注する見込み。立地企業に土地を分譲した段階で、県に借りた分を返す。
県は当初予算で本年度分の事業費に9億7000万円を確保しており、これを用地取得費や基本設計費に充てる。来年度は基本設計をとりまとめるとともに、環境アセスや都市計画変更の手続きを進める。これらの手続きを経て造成工事に着手する。
造成工事では既存の陸上競技場や野球場、フットボール場、テニスコートなどを解体撤去し、分譲用地や道路、緑地、法面、調整池などを整備する。
県経済商工観光部産業立地推進課の志賀秀明総括課長補佐は「県内産業経済の新たな軸となるような中核企業を誘致したい」と話した。県は半導体関連産業の誘致・集積にも力を入れている。
旧名取スポーツパークは、東北電力グループが1994年に総合体育施設として竣工した。その後、東日本大震災で甚大な被害を受けたこともあり、2012年6月に閉鎖。跡地を学校法人理知の杜に売却した。
県は2023年度から庁内横断のプロジェクトチームを組織し、新たな工業団地の開発を検討してきた。名取市が位置する県南部は、南北に縦断する高速道路と、それを結ぶ幹線道路網が充実しており、仙台空港や仙台塩釜港へのアクセスも容易となるなど、企業誘致の優位性を備えている。
今回は県全体の工業団地の配置バランスや交通インフラの状況などを考慮し、新たな工業団地の開発エリアとして県南部を選んだ。
旧名取スポーツパーク跡地は、農地転用などの必要性がないため、造成のスピード、交通の利便性、労働力や電力などの産業インフラといった面で優位性があると判断した。
県の工業団地で大規模企業を誘致できる用地は、第二仙台北部中核工業団地(大衡村)の30haしかない状況。ここは本年度に分譲を開始した。東北縦貫自動車道の大衡インターチェンジからすぐの場所で、好立地であるため、すぐに埋まってしまう可能性もある。
こうした状況も踏まえて、新たな工業団地を整備することにした。