LRT一体の広場整備 駅西口整備計画懇談会 年内にも基本計画策定(宇都宮市)

[2025/9/3 栃木版]

 宇都宮市は1日、ライトキューブ宇都宮で第7回JR宇都宮駅西口周辺地区整備基本計画策定懇談会(会長・森本章倫早稲田大学教授)を開催した。今回は(仮称)宇都宮駅西口周辺地区整備基本計画案が提示され、駅前にはバス・タクシープール、LRT停留場と一体的な交流広場、一般車空間などを設置する。また、駅前を含む中央地区には商業機能等の広域的な交流と賑わいの空間、南地区には居住・宿泊・商業・業務等の導入やタクシー利用者の停車スペースの設置、北地区には都市機能のほか集約駐車場の設置、田川周辺エリアは水や緑を生かした飲食施設等の賑わい空間を形成する。計画は年内に策定する見込み。

 市はJR宇都宮駅西口周辺地区で魅力あふれる空間を創出するため、(仮称)JR宇都宮駅西口周辺地区整備基本計画を策定する。対象範囲は▽駅前広場▽北地区(平面駐車場が区域の多くを占め、大規模な低未利用地が存在)▽駅前地区(駅前広場南側で、市街地再開発事業などの検討が行われているエリア)-となっている。

 駅前広場は、駅西口中央に広場空間やLRT(ライトライン)停留場、広場空間の南側にバス・タクシー空間、北側に一般車空間を配置し、駅・LRT停留場・各街区等を連絡する2階通路となるペデストリアンデッキを整備する。

 バス空間はロータリー方式を基本とし、タクシー空間の乗降場は現在と同規模の2台程度のスペースを確保して、タクシープールの規模は効率化に向けた検討を行う。一般車空間は、駅前広場内に降車場を確保するとともに、乗車待ちの需要に対応する短時間駐車場を確保する。駐車場は適正な規模・配置を行い、長時間利用の駐車場や駅周辺商業施設の附置義務駐車場の一部は、周辺エリアに集約配置する。

 歩行者動線は、誰もが移動しやすく車道を可能な限り横断することなく駅とまちなかを往来でき、各交通機関の乗り継ぎがスムーズな、バリアフリー動線を形成する。2階の歩行者動線には、端部に官民で昇降施設を設置し、主要な乗り継ぎ動線等にはエレベータやエスカレータを整備する。2階歩行者同線ではこのほか、ライトラインと一体となった市の顔となる象徴的な交流広場も合わせて整備する。

 駅西口周辺地区の土地利用は、駅前広場、駅前広場北のトナリエを含む中央地区、宮の橋を含む田川周辺エリア、市街地開発事業が進められている南地区、駅ビルのパセオを含む北地区に区分して方針を設定している。

 駅前広場(交流広場等)は、各交通モードが共存した人中心のウォーカブルな空間を形成する。交流広場は、乗継の合間に休憩や飲食等を利用できるものとし、使い勝手のよい可変性のある空間を検討して民間街区の低層階の賑わい機能との一体感を醸成し、まちづくりの担い手の意見を聞きながら施設配置や設備を検討する。交通利便機能は、チケットセンター、情報発信機能、ベンチ、トイレなどとし、LRTの桁下空間の有効活用も検討する。

 中央地区は、広域的な交流と賑わいの空間を形成する。商業機能は広場空間に隣接して配置(3階レベルまで)とし、広場に面する部分には低層棟(3~5階程度)を配置して高層棟の配置を避ける。商業のほか、医療・健康、教育・文化、業務、宿泊、子育て機能、多世代交流(会議室、多目的室など)を構想し、市有地(床)の有効活用も検討する。民間開発の駐車場は駅前広場へ過度な自動車の流入できるよう調整を図り、商業施設等の附置義務駐車場の一部は隔地による集約駐車場等への設置を検討する。2階デッキの歩行者動線は、東西軸・南北軸の回遊性を高めるものとする。

 南地区は、歩行空間や緑を感じる沿道を生かした、憩いへとつながる生活空間を形成する。導入機能は、居住、宿泊、商業、業務などとし、駅南側のタクシー利用者の降車ニーズに対応できる道路空間も含めた停車スペースを検討する。

 北地区は、基盤整備で低未利用地を利活用して都市機能の導入など賑わい空間を形成する。医療・商業等の機能は、低層階(2階レベルまで)の配置を検討する。教育・文化機能の導入にあたっては、旧篠原家住宅や周辺の歴史文化施設を生かせる機能を検討する。集約駐車場は、公共交通機能利用者の長時間利用、商業施設等の附置義務駐車場の一部を担うとともに、まちなか来訪者等の受け皿として適正な規模を検討するほか、民間貸切車両(バス等)の送迎用の駐車機能も検討する。

 田川周辺エリアは、地域資源を生かした水や緑を感じられる賑わい空間を形成する。居住、宿泊、商業などの機能を導入し、田川に隣接する強味を生かした飲食施設などを検討する。

 今後の想定スケジュールは、駅前広場を2030年ごろまでに整備して供用開始し、30年代から駐車場の適正化や需要に応じた交通空間の適正化を図っていく。南地区は40年ごろまで老朽建物の更新や都市機能導入に向けた市街地再開発事業等を検討し、40年代から市街地再開発事業等を推進していく。

 中央地区や田川周辺エリアは、40年中ごろまで事業化に向けた検討(導入機能、アクセス動線、事業スキーム)を行い、市街地再開発事業等を推進し、駐車場の適正化・集約配置(集約駐車場の整備)や土地区画整理事業も進めていく。北地区は権利者の意向を確認してから事業化に向けた検討(導入機能、アクセス動線、事業スキーム)を行い、市街地再開発事業等を推進する。

 今後は、9月にも計画素案のパブリックコメントを行ってから、年内までに計画を策定する。また、JR宇都宮駅西口周辺地区整備基本計画策定懇談会は、JR宇都宮駅西口周辺地区整備検討懇談会へ移行する。新しい組織では駅前広場の整備内容を具体化する施設設計や、周辺民間街区の開発事業などについて協議を行う。

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