遊水地の設計候補特定 吉田川/建設技術研究所に(北上川下流)
[2025/9/9 宮城版]
国土交通省北上川下流河川事務所は、「吉田川中流部遊水地詳細設計業務」の受託候補者に建設技術研究所(東北支社・仙台市青葉区)を特定した。今後に同社と見積もり合わせして金額が折り合えば契約する。この業務が完了した後は、用地調査や地元説明などを実施し、遊水地整備の事業化を目指す。
新しい遊水地は2019年の東日本台風と同規模の洪水が発生した場合でも、同川中流部のピーク水位が計画高水位を下回るようにする目的で整備する。湛水容量は約700万立方mを想定している。
整備場所は東日本台風で堤防が破堤した箇所の対岸で、同川右岸。面積は大郷町内の160haが候補地。現地は主に田んぼで、一部に住居がある。
計画では既存堤防を一部切り下げて水が入れる越流堤にするとともに、その周囲を盛土して堤防を築き、水が溜められるようにする。堤防は遊水地と堤内地(宅地)を仕切る周囲堤や、川と遊水地を仕切る囲繞(いぎょう)堤で構成する。排水門は1カ所に整備する考え。
今回の詳細設計業務で河川構造物の設計をまとめるほか、水理模型実験を行う。履行期間は2026年8月31日まで。業務成果を踏まえて堤防の高さや延長、形などを決め、既存の道路を寸断してしまうようならば今後に道路の付け替えも検討する。
プロポで技術提案を求めた評価テーマは「吉田川の河道特性と遊水地の施設計画を踏まえた水理模型実験計画を立案する上での着眼点」だった。
遊水地の新設に向けては、予備設計業務を建設技術研究所に委託した。業務内容は現地踏査、基本事項の検討、構造設計、施工計画案の検討、図面作成、概算工事費の算定など。この業務で遊水地のおおまかな位置や、越流部の形式などを決める。同社は概略設計業務も担当した。
遊水地に設ける排水門の予備設計業務は別途、簡易公募型プロポーザルの手続きを進めており、4日まで参加表明書や技術提案書を受け付けた。月内には審査結果を公表する見込み。
排水施設は現時点で幅12.2m×高さ5.1m×2連の水門形式を想定している。正式な形式やサイズなどは予備設計を踏まえて決める。
地質調査業務入札参加募集
同事務所は、吉田川中流部に遊水地を新設するため、地質調査業務を一般競争入札で委託する。17日まで参加申請書、10月23日まで入札書を受け付け、同24日に開札する。
同業務は件名が「吉田川中流部遊水地地質調査業務」で、遊水地の整備予定地で地質調査と地盤解析を行う。履行期間は26年6月30日まで。
入札の参加資格は、単体企業か設計JVで、県内に事業所があり、東北地方整備局から地質調査業務の資格認定を受けていることなど。