事業費を19億円に増額 旗川の河川改修 稲岡橋の架け替えなどで(県河川課)

[2025/9/20 栃木版]

 県河川課は、一級河川旗川の安全な川づくり事業で、総事業費を当初予定していた9億8000万円から、市道駒場稲岡通りに架かる稲岡橋の架け替えに伴い19億円へと9億2000万円増額する。25年度の末時点の進捗率は約40%で、残る事業費は河道掘削や築堤などで4億7000万円と、稲岡橋の架け替えが4億2000万円など。事業期間は変わらず、2028年度までの完了を目指していく。

 一級河川旗川は、佐野市作原町から佐野市街地の西部を流下して、一級河川渡良瀬川に合流する流域面積151.6平方km、管理延長32.5kmの河川。このうち、足利市寺岡町地先の稲岡橋から佐野市並木町地先のJR両毛線橋梁までの延長2200m区間は、川幅が狭く屈曲しているため流下能力が不足している。

 また近年は、東日本台風で家屋や農地などへ浸水被害が発生しているほか、沿川の県道山形寺岡線が通行止めになるなどの被害が生じていることから、県は浸水被害の軽減を図るため、この区間で河川改修事業で河川断面の拡大および屈曲部の解消を実施している。

 浸水面積61.4ha、家屋浸水89戸の解消を図るため21年度に補助事業化し、目標事業期間28年度まで、全体事業費9億8000万円(うち用地補償費3億3000万円)で事業をスタートした。計画規模は5分の1確率で、計画流量は毎秒300立方m。整備後の標準天端幅は約75mとする。同年度から用地取得と工事に着手して、これまでに下流側の1090mの整備が完了。25年度の末時点の進捗率は事業費ベースで39.5%、うち用地補償費35.0%となっている。

 今回の計画見直しでは、事業費を工事費8億5000万円と用地補償費7000万円のあわせて9億2000万円増額し、総額19億円に変更する。工事費増額の内訳は、建設資材や労務単価の高騰による増で3億4000万円、流下能力の再確認に伴い新たに必要となった上流端の稲岡橋の架け替えに5億3000万円と、掘削土砂の工事間流用で2000万円の減。また用地補償費は、稲岡橋の架け替えに伴う用地取得で7000万円を追加する。

 稲岡橋については当初、事業着手前に100mおきに横断測量を実施して大まかな設計を策定していたが、事業着手後に詳細設計の前段として20mおきの測量を行い現況の流下能力を再確認した結果、稲岡橋の前後でボトルネックとなる断面が見つかり、目標とする毎秒300立方mを上流部で数十立方mほど満たしていないことが判明した。このため今回、事業の内容に稲岡橋の改築を加えた。

 残る事業内容と事業費は、河道掘削や築堤が4億7000万円、稲岡橋の架け替えが4億2000万円と、用地補償で2億1000万円の見込み。引き続き用地取得や工事を推進し、28年度の事業完了を目指す。

 コスト縮減方策としては、現況の河道を活かした計画とすることや、既設の護岸を利用することや、河川の掘削土砂を築堤材として活用することで事業コストの縮減を図る。また、他事業と調整して建設発生土の事業間連携を図る。

 なお、一級河川旗川についてはJR両毛線橋梁の南側についても、直轄区間の上流端までの延長約1400mで浸水被害の軽減を図るため、河川断面の拡大や屈曲部の解消に取り組んでいる。事業期間は24年度から33年度までの10カ年で、総事業費は約21億円。この事業により、約570haの浸水被害解消を図る。

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