来年度に入札手続き 文化と知の創造拠点 近くPFI事業概要公表(県文化と知の創造拠点整備室)
[2025/9/23 栃木版]
県文化と知の創造拠点整備室は、県立美術館、図書館および文書館を一体的に再整備する「文化と知」の創造拠点について、PFIを前提とした施設整備・管理運営計画を検討している。実施方針および要求水準書案を年度内にも策定するため、近く事業の名称や期間、概要について公表する予定。2026年度には入札手続きを進めて、設計・工事、会館準備を経て32年度中の開館を目指す。
県議会第408回通常会議の代表質問で、五月女裕久彦議員(自民、宇都宮市・上三川町選出)の質問に答え、福田富一知事が明らかにした。
五月女議員は、「文化と知」の創造拠点について「先月27日には、整備予定地周辺の自治会などから施設の早期完成等を求める要望書が2725人の署名を付して提出されるなど、地元の期待も大きい」と話し、現在の進捗状況と今後の整備スケジュールを福田知事に質問した。
福田知事は「昨年度に策定した整備構想を踏まえ、本年4月に生活文化スポーツ部内に文化と知の創造拠点整備室を新設し、事業推進体制の強化を図ったところ。また7月には、法務・金融・建設等の専門知識を有する外部アドバイザーと業務委託契約を締結し、PFIを前提として施設整備・管理運営計画等の具体的かつ詳細な内容を検討している」と説明した。
続けて「県としては、PFI法による実施方針および要求水準書案の年度内策定を目途に、近々同法の規定に基づき事業の名称・期間および概要等について公表する考え。引き続き幅広く意見を伺いながら、来年度には入札に向けた手続きを進め、設計・工事、会館準備を経て、32年度中の開館を目指していく」と答弁した。
「文化と知」の創造拠点整備構想は、築50年程が経過して設備などの老朽化が進行しているほか、バリアフリー化や収蔵能力の確保、駐車場不足の解消、さらには急速に進化するデジタル技術への対応が必要な県立美術館・図書館・文書館を一体的に整備するもの。
建設場所は、敷地面積3万3630平方mのまとまった県有地で早期の整備着手が可能であり、県有財産の有効活用が図れることなどを考慮して、県体育館跡地(宇都宮市中戸祭)を選定している。整備構想によると、諸室の規模は美術館が約1万5000平方m、図書館が計約1万8000平方m、文書館が約3000平方mを目安とし、延床面積は約3万平方mから3万6000平方mと試算する。
事業手法は、効果が高いと見込まれるPFIの導入を前提に、7月にPFIアドバイザリー業務に係る公募型プロポーザルを実施し、PwCアドバイザリー合同会社(代表構成員、東京都千代田区)と昭和設計東京事務所(構成員、東京都港区)で構成する共同企業体「栃木県『文化と知』の創造拠点 PFIアドバイザリー業務」受託コンソーシアムと契約した。
福田知事は施設整備のスケジュールについて、25年度に実施方針等の作成と特定事業の選定など、26年度に事業者選定手続きなどを行って、26年度から設計および施設整備に着手すると明らかにした。設計・施工のあと、半年から1年の開館準備を経て32年度中のオープンを目指す。
なお、五月女議員は「一昨年に開業したJR宇都宮駅東側のLRTが想像以上の盛況であり、国内外から視察が相次いでいる。宇都宮駅西側への延伸についても検討が進められており、文化と知の創造拠点は駅西側に位置する県体育館跡地に整備することで進められていることから、こうした国内外から注目を集めるLRTとの連携なども視野に入れながら、広く県民から愛され、新たな賑わいを発信する拠点となるよう、その整備を進めほしい」と要望した。