県土整備常任委 山田ICフル化を要望 銚子連絡道路の用地取得へ準備(千葉県)
[2025/9/30 千葉版]
千葉県議会の県土整備常任委員会が29日に開かれ、補正予算案や工事請負契約議案など4議案を審議し、全て了承された。質疑応答では銚子連絡道路の匝瑳・旭市間で用地取得に向けた準備が本格化していることが報告されたほか、委員から千葉東金道路・山田インターチェンジ(東金市)のフルインター化を求める意見などが出された。
県土整備常任委員会で宇野裕委員は、2022年度に事業化された銚子連絡道路の匝瑳・旭市間について、進ちょく状況をただした。延長13kmで道路や橋梁の予備設計が完了するとともに、境界立会を実施し、用地実測図を作成している。
その成果をもとに、道路区域の変更手続きなどを進めており、用地取得に向け準備が本格化。道路延長が長いことから、用地取得を加速するため、県土地開発公社や民間事業者への用地補償業務の外部委託、地元市への協力要請などを検討している。
宇野委員は「何と言っても用地取得が重要。県の職員だけではマンパワーの面で限界がある」と指摘。ある程度まとまった用地が確保できた箇所から、順次工事を進めていくよう求めた。
山本義一委員は、千葉東金道路・山田インターチェンジのフルインター化を要望した。圏央道方面の出入りができないハーフインターチェンジとなっているため、圏央道の全線開通を見据え、フルインター化は地域の経済や産業、物流の活性化に必要と訴えた。
小路正和委員は、長生グリーンラインを含めた外房地域の高規格道路について、進ちょく状況と今後の取り組みを質問した。長生グリーンラインの県道茂原大多喜線から広域農道までの2・5km区間については、用地取得や橋梁工事を進めている。
これに続く、一宮町までの5km区間では、道路計画や境界立会などを説明するため、今月27日から4回に分けて地元説明会を開催。地元の了解があった箇所から順次、境界立会に着手する方針だ。
小路委員は、外房地域の発展のためにも長生グリーンラインの整備は必要と述べ、1日も早い開通を求めた。
名洗港の港湾整備を継続へ
四童子部長
委員会の冒頭、四童子隆部長は、銚子市沖の洋上風力発電事業からの企業撤退について報告した。8月27日に三菱商事などの企業連合が、銚子市沖の洋上風力発電事業からの撤退を表明し、28日に知事と三菱商事の社長との面談が県庁で行われた。
同社が撤退しても、銚子市沖の洋上風力発電促進区域そのものがなくなるわけではなく、事業実現に向けて早期の再公募を国に働きかけていくこととしている。このようなことを踏まえ、四童子部長は、洋上風力発電事業のメンテナンス拠点となる名洗港の港湾整備を進めていく考えを示した。
広域道路ネットワークの取り組みを説明した。これまで成田空港「第2の開港」の効果を広域的に波及させるため、「首都圏空港道路ネットワーク分科会」を設置し、国や高速道路会社などと議論を進めてきた。
8月29日には、これまでの議論や有識者などの意見を踏まえ、北千葉道路の整備促進、新湾岸道路の早期具体化などについて、知事が直接、国土交通省へ要望を実施した。
四童子部長は、これまでの成果を踏まえ、基本方針をとりまとめ、道路ネットワークのさらなる充実・強化に取り組んでいく方針を示した。
下水道管路の全国特別重点調査の結果について報告。本年1月、埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受け、国土交通省から全国の地方公共団体に対し、下水道管路の特別重点調査が要請され、本県でも目視やテレビカメラによる調査を進めている。
調査の対象は、管径2m以上で1994年度以前に設置された約115kmの下水道管路。特に八潮市の陥没事故と類似する構造や地盤条件の箇所、腐食しやすい箇所を優先的に調査し、9月17日に結果を公表した。
調査の結果、優先実施箇所の約73kmのうち、管の腐食などにより原則1年以内の対策が必要と見込まれる緊急度Iと判定された要対策延長は約1・4km確認されている。
これらの箇所は3月に実施した路面下空洞調査で空洞は確認されていない。補修を実施するまでの間、週1回以上路面の状態を監視し、道路陥没を未然に防止する。四童子部長は速やかに必要な対策を実施する考えを示した。