担い手づくりなど位置付け 県土づくりプラン 次期計画の骨子案を示す(県監理課)
[2025/10/1 栃木版]
県監理課は9月30日、2026年度から30年度までの5年間を計画期間とする新たな「県土づくりプラン」の骨子案を明らかにした。それによると、重点施策は「道路」「河川・砂防」「まちづくり」「公共交通」の4分野、横断的施策には「防災・減災、県土強靭化」「社会資本の老朽化対策」のほか新たに「地域間連携の促進」「担い手づくり」「インフラDX・GX」を加えたの5分野を位置付け、今後進めるべき具体的な施策や目標となるKPI(重要業績評価指標)を検討していく。今後は12月にパブリックコメントを実施し、県議会県土整備委員会に報告したあと来年3月下旬にも庁議を経て決定・公表する予定としている。
県土整備部では、県重点戦略「とちぎ未来創造プラン」に掲げる目指すとちぎの将来像の実現に向けて、21年度から県土づくりの各分野で重点的に進めていく施策や目標を示した「県土づくりプラン2021」をスタートさせ、各種取り組みを進めてきた。
このプランは本年度が最終年度となることから、現在策定中の県の次期重点戦略で、県土整備部が主要施策を担う安全・安心戦略や地域・環境戦略などと整合を図るとともに、社会情勢の変化や新たな視点を踏まえながら次期「県土づくりプラン」を作成する。計画期間は、県の重点戦略と整合を図る観点も踏まえ、これまでと同様に26年度から30年度までの5カ年計画とする。
骨子案は、これまでの取り組みを総括した上で、人口減少・少子高齢化や頻発・激甚化する自然災害、カーボンニュートラルの実現など、時代の潮流を踏まえながら県土づくりの各分野で重点的に取り組む施策を「重点施策」として、各分野で横断的視点を持って取り組む施策を「横断的政策」と位置づけて、今後進めるべき具体的な施策や目標となるKPIを検討していく。
重点施策の分野は「道路」「河川・砂防」「まちづくり」「公共交通」の4分野としており、視点やキーワードとして道路は広域道路ネットワークの充実強化など、河川・砂防は流域治水の推進など、まちづくりはスマート+コンパクトシティの実現など、公共交通は無人自動運転技術の実装などとしている。
また横断的施策では、これまでの「防災・減災、県土強靭化」「社会資本の老朽化対策」に加え、新たに「地域間連携の促進」「担い手づくり」「インフラDX・GX」を掲げている。視点・キーワードには、第1次国土強靭化実施中期計画の推進や各インフラ施設の長寿命化、県土60分構想のリ・デザイン、担い手の確保・育成、生産性向上やカーボンニュートラルの推進等としている。
これら骨子案を県議会県土整備委員会に示すと、横松盛人委員からは「重点政策の通学路整備で、新たなプラン作成にあたりどのような課題のもと、どのような数値目標を設定していくのか」と質問があり、牛久益雄道路整備課長は「現行のプランでは、通学路整備に5年間で75kmの目標を設定し、概ね達成してきている。次期プランでも、市町からの要望箇所や通学路安全プログラムに位置付けられている箇所等を盛り込み、数値目標を設定して整備を進めたい」と答えた。
また、池田忠委員からは「現プランをしっかり検証したうえで、課題等を洗い出し、次期プランの作成にあたってほしい。物価や人件費の高騰にも対応する必要があり、それらを考慮した予算等の計画を立てることが必要」と指摘され、横尾元央次長は「担い手不足や物価高騰など、建設業界はかなり厳しい状態と認識している。適正な発注のほか、強靭化実施中期計画を最大限活用しながら予算を確保して、建設業界に発注していくという体制を作っていきたい」と説明した。
主な施策と視点・キーワードは次の通り。
【重点施策】
▽道路=広域道路ネットワークの充実・強化、通学路整備、持続可能な道路管理等
▽河川・砂防=流域治水、改良復旧事業の推進、土砂災害対策等
▽まちづくり=スマート+コンパクトシティの実現、都市公園の魅力向上、空き家対策等
▽公共交通=無人自動運転技術の実装、生活交通の維持・確保、LRTへの支援等
【横断的施策】
▽防災・減災、県土強靱化=第1次国土強靱化実施中期計画の推進等
▽社会資本の老朽化対策=道路・河川・下水道等の長寿命化、地域インフラ群マネジメント戦略の推進等
▽地域間連携の促進=県土60分構想のリ・デザイン等
▽担い手づくり=産学官連携による建設業の魅力向上、インフラトレーニングセンター設置等
▽インフラDX・GX=ICT建機施工や三次元点群データ活用による生産性向上、環境配慮型製品の活用等によるカーボンニュートラルの推進、下水汚泥の堆肥化等