脱炭素化など盛る 新し尿処理施設 検討委で基本方針案議論(県央衛生組合)
[2025/10/02 茨城版]
県央環境衛生組合(管理者・小林宣夫茨城町長)は、新し尿処理施設整備に向けた基本方針案などを明らかにした。7月に開催した第2回整備検討委員会の内容で、現況把握と課題の整理案、水処理方式・資源化方式の予備検討などについても意見を交わした。基本方針案では、笠間市・茨城町の総合計画や環境基本計画、一般廃棄物処理基本計画などを考慮。新施設には、脱炭素化促進、災害に対する強靭性、周辺環境に対する配慮、経済性・効率性、労働安全性を設定した。
基本方針案には、笠間市・茨城町の総合計画や環境基本計画、一般廃棄物処理基本計画などに関連した自然共生や住みよいまちづくりなどのキーワードを抜粋。施設整備の基本方針として、▽循環型社会を形成し、脱炭素化を促進する施設(し尿などの処理・資源化による循環型社会の形成、省エネルギー・省薬品化などによる脱炭素化促進)▽災害に対して強靭性を有する施設(災害に強いハード面、被災した際の影響が最小限かつ対応・復旧が速やかに行えるしなやかさ)▽周辺環境に配慮した施設(放流水や臭気、騒音、振動などに対する規制基準・関係法令の遵守、汚物処理施設というイメージを与えない建物)▽経済的・効率性に配慮した施設(経済面や管理運営面での合理性と効率性を重視)▽労働安全性を考慮した施設(快適な作業環境、自動化・集中管理を基本とした施設)──を掲げた。
委員からは、整備上の課題として新施設の計画値や運転管理方式などに関する意見が上がった。事務局では、新施設の計画値は第3回委員会で性能基準値として決定するとし、水質汚濁防止法や廃棄物処理法、公害防止基準値と現施設の計画値などを比較しながら議論すると説明。運転管理方式は、PFIなどの導入可能性調査により検討・決定すると述べた。
また、水処理方式・資源化方式の予備検討では経済性について議論。事務局は、経済性を判断する期間に事業方式が影響するとしたうえで、運営期間中の運営費も対象にするため、建設費が大きな要因になると説明した。
第3回委員会は9月26日に実施済み。今後は第4回を12月下旬、第5回を26年2月中旬に予定しており、パブリックコメントを実施、基本計画案の検討後、本年度中の策定を目指している。
茨城地方広域環境事務組合のし尿処理施設は建設から57年、大規模な増築工事から43年が経過し、老朽化が進んでいるため新し尿処理施設を整備する。建設地は、茨城地方広域環境事務組合が所有する現施設の北側で計画する。
新処理施設の基本計画策定等業務は日本環境衛生センター(神奈川県川崎市)に委託。基本構想によると、施設整備に係る発注支援業務を26年度、造成・施設整備工事を27-29年度の3カ年で進め、30年度の稼働を目指す。概算事業費には資源化方式により60-69億円ほどを試算している。