千葉県のいすみ鉄道 脱線事故の報告書 線路補修など再発防止策求める (運輸安全委)

[2025/10/3 千葉版]
 いすみ鉄道の列車脱線事故をめぐり、国土交通省の運輸安全委員会(李家賢一委員長)は2日、調査報告書を公表した。線路の補修や枕木の管理などの再発防止策を求めるとともに、技術支援を積極的に活用するよう勧告している。鉄道会社は利用者の多い大原駅から大多喜駅までの東側区間を優先する方針。2027年秋ごろの運転再開を目指している。

 脱線事故は24年10月4日、いすみ市内で発生。国吉駅~上総中川駅間を2両編成の列車が右カーブを走行中、脱線した。乗客104人、運転士1人が乗車していたが、負傷者はいなかった。

 調査報告書では、現場付近のレール幅が大きく拡大していることを指摘。必要な補修ができていなかったことや、腐食やひび割れの枕木が連続していたことなどが要因として考えられるとした。

 この調査結果を受け、再発防止策として、▽着実な軌道変位の補修▽枕木の適切な管理▽線路の保守体制の改善──の3項目を挙げている。

 鉄道会社に対し、PC枕木化に向け、できるだけ早期に実施できるよう計画を策定することや、国や関係自治体からの協力を得つつ、技術支援を積極的に活用していくことが望ましいと勧告している。

 鉄道会社は、県立大多喜高校に通う生徒など、利用者の多い大原駅から大多喜駅までの東側区間を優先して復旧する方針。復旧費用は14億5000万円を概算し、工事費として10億円規模を見込んでいる。

 現在、大多喜駅から国吉駅までの区間で交通建設(千葉支店・千葉市中央区)が復旧工事を進めており、本格化する見通し。できる限り工期を短縮し、早期に運行を再開させるため、施工会社を増やすことについて、関係者と調整しているという。

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