基幹事業に132億円 常陸多賀駅周辺 5カ年で都市再生整備計画 BRTルートや東西自由通路(日立市)

[2025/10/9 茨城版]
 日立市は本年度、常陸多賀駅周辺地区の都市再生整備計画事業に着手した。計画期間は25-29年度の5年間。対象エリアはJR常陸多賀駅周辺地区の約190haとしている。基幹事業では交付期間内事業費に132億1200万円(全体事業費136億6300万円)を投じ、駅舎や東西自由通路、東口駅前広場、ひたちBRTルートなどを整備する。

 対象地域の課題には、▽線路西側の駅前広場周辺に集中している交通混雑の解消▽線路で分断された東西市街地間の円滑な移動動線の確保▽駅周辺における待合・滞留空間不足の解消──を挙げる。これらを解決するための大目標には「都市拠点としての機能向上」を掲げ、計画区域の整備方針として「交通結節点としての機能強化」と「魅力ある駅前空間の形成」──を進めていく。

 交通結節点としての機能強化では、▽駅東西での交通機能分散による道路混雑の解消と利便性の向上▽ひたちBRTの東口乗入れを見据えた乗換機能とアクセス機能の向上▽利便性の高い道路ネットワークの構築と防災機能の強化──図る。これらに対応するための主要事業では、基幹事業として多賀停車場間々下線や常陸多賀駅東口交通広場、常陸多賀駅自由通路線、市道5021号外1路線、市道6769号外2路線、市道5268号ほか1路線などの道路整備を計画。また、高次都市施設として複合交通センター整備事業、関連事業として多賀停車場大沼線や関口間々下線の整備を盛り込んでいる。

 魅力ある駅前空間の形成では、▽駅東西市街地間の円滑な移動動線の確保▽駅周辺における快適な滞留環境の確保▽まちの「かお」としての高質な景観形成▽低未利用地の転用等による合理的な土地利用の推進──を挙げる。これらに対応するための事業として、基幹事業には常陸多賀駅自由通路線、複合交通センター整備事業を掲げている。

 基幹事業や関連事業で進める道路整備は、ひたちBRTの関連ルートが多く含まれる。このうち、多賀停車場間々下線は、駅東口広場からJR常磐線を跨ぎ、駅北側で都計道多賀停車場兎平線(大学通り)と接続する延長392m(幅員11.2m)で計画。跨線橋を含む線路との並行部分は高架構造とすることで、周辺道路ネットワークに多重性を持たせ、防災機能の向上を図る。

 常陸多賀駅自由通路線は、常磐線を跨ぐ東西自由通路や橋上駅舎を整備するもの。24年度にまとめた駅舎や東西自由通路の基本設計に続き、本年度は実施設計をまとめている。基本設計によると、東西自由通路の橋長は約35m。幅員は通路部分が6.5mとするが、待合空間部分を設けることからその分拡大されるもよう。本体工事の着工は27年度を予定し、28年度中の供用開始を目指す。

 高次都市施設として計画する複合交通センターは、既存駅舎の跡地に計画するもの。跡地はJR保有部分も市が確保し、施設内には楽しく快適におしゃべり飲食できる待合機能や、待ち合わせなどに利用できるカフェ・飲食店、まちの魅了を発信する情報発信機能などを確保する。施設規模はS造3階建て延べ1100平方m程度で計画。設計は駅舎・自由通路とともにJR東日本がまとめている。工事は、JR東日本に委託して行われる。

 このほか、駅西側市有駐車場土地利用転換にはPFI手法の導入を想定。本年度から具体的な検討を進めていく。

 以下、交付対象事業は次の通り(※事業名=[1]規模[2]交付期間内事業費)。
【基幹事業】
〈道路〉
▽都市計画道路多賀停車場間々下線=[1]L392m[2]30億5200万円
▽常陸多賀駅東口交通広場=[1]A4400平方m[2]13億8900万円
▽都市計画道路常陸多賀駅自由通路線=[1]L90m[2]55億1800万円
▽市道5021号外1路線=[1]L106m[2]5600万円
▽市道6769号外2路線=[1]L700m[2]9億6700万円
▽市道5268号外1路線=[1]L874m[2]6億4600万円
〈高次都市施設〉
▽複合交通センター=[1]S造3階建て延べ1100平方m[2]15億8500万円
【提案事業】
〈事業活用調査〉
▽事業効果分析調査(計画地区内)=[2]800万円

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.