予算確保や強靭化を要望 維持工事など課題共有 東北整備局と意見交換(東北建協連・品確協)

[2025/10/9 宮城版]

要望書を手に記念撮影する左から千葉会長、西村局長、向井田会長

要望書を手に記念撮影する左から千葉会長、西村局長、向井田会長

 東北建設業協会連合会(千葉嘉春会長)と東北公共工事品質確保安全施工協議会(向井田岳会長)は7日、仙台市内で本年度2回目となる東北地方整備局との意見交換会を開いた。2団体は連名で、地域建設業の存続に向けて、本年度を上回る規模の来年度予算の確保をはじめ、第一次国土強靭化実施中期計画の着実な推進など4項目を盛り込んだ要望書を提出。意見交換でも事業量確保に加え、管内の維持工事や現場実態を踏まえた週休2日制への見直しなど多岐にわたる課題について情報を共有した。

 本年度の両会と整備局の意見交換会は、4月に続き2回目。2団体から幹部25人、同局から西村拓局長ら幹部17人が出席し、東北地方の建設産業のあり方をテーマに非公開で意見を交わした。

 西村局長は、今夏に発生した大雨災害などへの対応に感謝を述べた上で、6月に閣議決定した第一次国土強靭化実施中期計画に触れ「必要な予算の獲得に全力で取り組む」と力を込めた。さらに「今日は4月に続き、皆さまの意見を直接聞ける非常に意義深い機会。意見をしっかり受け止め今後の施策に反映する」とあいさつした。

 両会を代表して連合会の千葉会長は、激甚・頻発化する自然災害に危機感を示し「国土強靭化は待ったなしだ。国の実施中期計画は地域建設業の大きな希望であり、計画を推進する最前線に立つ者として役割と責任を強く自覚している」と述べ、整備局に対し「われわれが責務を果たし続けるためにも安定的な公共事業費の確保、中長期的な事業量の確保が不可欠だ」と改めて訴えた。

 公共事業の話題では、昨年、今年と秋田や山形で大雨災害が発生したことから、災害復旧の早期認定を求める声や、河道掘削といった国土強靭化事業への期待感を示す意見があった。

 安定的・中期的な予算確保においては、大震災前に約4000億円規模だった東北整備局の予算(直轄)が、復興予算終了後、実質その6割程度まで落ち込んでいる。自然災害への備えや必要なインフラの維持・更新などが厳しくなり、そもそもこれを支える地域建設業の存続が危ぶまれる。

 協会側からは「国の予算が減り大変厳しい」や「最近は利益が出る工事がない」といった率直な声が挙がった。利益の確保に当たっては一般管理費が下請への支払いに回り、会社の利益が出せず「下請への支払いを見据えた形で直工費を見直すべき」といった意見もあった。

 予算にも関連するところで、前回4月の意見交換の中で協会側が維持工事の現状に課題があるとし「現場の生の声を聞いてほしい」と要望していた。これを受け、整備局は7月の青森県を皮切りに東北6県の維持工事受注者との意見交換会を開始(本県は22日を予定)しており、今回、協会側がこの取り組みに謝意を示した。整備局は意見を取りまとめ改善につなげたい考え。

 さまざまな経費が上昇する中、維持工事に関する国の予算規模は従前と変わらないため、発注に際し、除草回数や道路補修量などを減らすといった状況もある。受注企業側は仕事量が減り作業員があぶれる一方、人材を維持し続けるためにも賃金を払わなければならず「受注しても利益が上がらない」という厳しい状況に陥っている。

 会合では協会側が除雪業務について、担い手確保や人員の高齢化、自治体と連携といった多くの課題を抱えているものの「中央はこの問題を認識していないのでは」との懸念も示した。除雪も含め維持工事の受け手がいなくなれば地域の安心・安全で快適な生活が失われ、災害時のリスク拡大といった危機にもつながる。

 週休2日の話題では、これまでの月週休・週週休ではなく「通期の週休2日と、これに対応した補正率に戻してほしい」と要望する意見が出た。各社が取り組みを進める中で特に土木工事は、天候に左右されることも鑑み、働き方改革を進めるためにもより柔軟な運用を求めた。このほか工期の平準化について国債などを活用して4~6月の発注稼働率を上げてほしいといった意見や、入札における賃上げ加点の廃止、長寿命化・維持管理を見据えた構造物の整備といった話題にも及んだ。

地域建設業が抱える課題を共有した

地域建設業が抱える課題を共有した

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