3次元モデル普及へ BIM/CIM 適用業務の試行要領策定(県技術管理課)

[2025/10/11 栃木版]

 県技術管理課は、県土整備部が発注する土木関連業務委託で、3次元モデル等の試行的な活用方法を定めた「栃木県県土整備部におけるBIM/CIM適用業務 試行要領」を新たに策定した。道路、河川、砂防事業などの調査や設計、計画業務のうち、3次元モデルの活用内容が明確で効果が期待される業務を対象とする。発注方式は「発注者指定型」と「受注者希望型」の2種類で、10日以降に起工する業務から適用する。

10日以降起工業務から適用

 BIM/CIM適用業務は、土木関連業務で3次元モデル等のデータを作成・活用する業務と定義する。対象業務は県土整備部が発注する道路、河川、砂防事業等の土木関連業務(調査、設計および計画業務)で、3次元モデルの活用内容が明確であり、効果が期待されると発注者が認めた業務。維持工事、および災害復旧工事などの緊急性を要する業務は、原則対象外とする。

 BIM/CIM適用業務の発注方式は、「発注者指定型」と「受注者希望型」の2種類とする。「発注者指定型」は発注者が特記仕様書に活用目的や内容等を明記し、BIM/CIM適用業務の実施を指定して発注する方式とする。

 また「受注者希望型」は、契約後に受注者からBIM/CIM適用業務の実施希望があった場合に3次元モデルの活用を行う方式。受注者が発注者に対して活用目的や内容、費用などの提案・協議を行い、発注者が認めた場合に実施できる。

 対象業務のうち、「発注者指定型」を適用するものを除き、調査、設計および計画業務を原則受注者希望型で発注する。BIM/CIM適用業務の対象として発注していない業務でも、受注者から実施希望があり、発注者が認めた場合は受注者希望型と同様の取扱いができる。

 BIM/CIM適用業務の実施にあたっては、BIM/CIMの実施内容や3次元モデルの作成仕様、3次元モデルの作成・活用に要する費用などの内容を受発注者間で協議して、受注者が実施計画書を作成する。受発注者間の協議により、特記仕様書に定める目的や作成仕様に変更が生じた場合は、協議結果に基づく実施計画書を作成し、必要に応じて設計変更の対象とする。

 BIM/CIM適用業務の積算方法は、「発注者指定型」では見積を徴収して積算する。活用内容の詳細が受注者との協議で決定することや、3次元モデルの作成に要する作業が標準化の途上であることから当初は計上せず、契約後に受注者からの見積りで設計変更する。「受注者希望型」では、受発注者の協議で実施内容や効果、金額を確認した上で、受注者からの見積りにより設計変更する。受注者は、国土交通省「BIM/CIM適用業務における新たな見積り様式」に準拠して見積書を作成する。

 なおBIM/CIMは、建設事業で取り扱う情報をデジタルデータとして統合管理することで受発注者間のデータ活用・共有を容易にし、建設生産・管理システム全体の効率化・高度化を図るもの。計画、調査、設計段階から3次元モデルや点群データ、GIS等の目的に応じたデータ・ツールを導入し、施工、維持管理の各段階でもこれらの情報を連携・発展させることで、事業全体にわたる関係者間の情報共有を促進し、建設事業の効率的な推進を可能とする。

 同課では本年度当初に、バイパス整備など新築・改築に係る設計の25%についてBIM/CIMの適用を目標に掲げていたが、達成はまだ難しい状況。今回、試行要領を策定して、実施した実績を積み上げていくとともに、受注者側にも積極的に3次元モデルなどへの対応を促すことで、今後の本格的な導入につなげていきたいとしている。

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