防災集団移転に着手 小山市と那須烏山市 国交相の同意で事業促進

[2025/10/18 栃木版]

 小山市は押切地区、那須烏山市は下境地区と宮原地区で計画する防災集団移転で、3地区の防災集団移転促進事業計画が14日に国土交通大臣の同意を得た。押切地区の事業期間は2025年度から29年度までの予定で、総事業費は概算25億円。また、下境地区は事業期間が25年度から30年度までの予定で総事業費は概算7億円、宮原地区は事業期間が25年度から31年度までの予定で総事業費は概算13億円となっている。押切地区は第3四半期に住宅整備工事を発注し、下境地区は西側で26年度から造成工事を実施する。

 小山市は、2015年9月の関東・東北豪雨で被災した一級河川杣井木川流域で、地元住民と排水強化対策を協議し、押切地区では防災集団移転促進事業を行うこととなった。この地区は、28戸の移転を予定している。

 押切地区の防災集団移転事業は、移転先を選定した後、市が住宅団地の用地取得や造成を行い、道路等の公共施設を整備する。移転者は移転先の土地購入や住宅建設を行い、市は住民の移転の支援や移転元地の土地の買い取り、建物補償などを行う。移転先は、旧県営塚崎住宅の跡地となっている。

 住宅団地整備は第3四半期にその1工事、第4四半期にその2工事を発注し、いずれも26年3月までの工期を予定している。設計は、中央測量設計(小山市)が担当した。

 約8000平方mの敷地に16区画を設置する計画で、その1工事では区画道路(総延長402m)や下水道(総延長379m)を整備する。その2工事は区画道路整備や宅地ブロック整備のほか、簡易的な公園となる緑地(A619平方m)も設ける。緑地の地下には雨水の貯留浸透槽も整備し、その1工事で9基、その2工事で8基を設置する。

 塚崎地区の住宅団地整備にあたっては、別途に配水管布設工事(L300m)も行い、第3四半期に工事を発注する。26年度以降は、市が押切地区の移転者の土地を買収し、移転者は土地の代金や補償費を基に移転先の塚崎地区で住宅を整備する計画となっている。

 一方、那須烏山市では19年に発生した東日本台風で被災した下境地区や宮原地区の防災集団移転に向けて、検討や地元との協議を進めている。下境地区は23戸、宮原地区は34戸の移転を予定している。

 移転先は、下境地区がすでに施設を解体した旧境小学校跡地とその周辺(A約8700平方m)、宮原地区が宮原公民館北西の高台の民有地(A約8700平方m)を候補地に選定している。

 下境地区は、下境地内を南北に貫通する主要地方道那須黒羽茂木線の西と東に分けて、2段階で移転を進めていく。西側は旧境小学校跡地に移転し、次いで東側にも着手して、旧境小学校跡地の南側に移転する。

 西側は学校跡地で26・27年度に造成を行い、30年度から住民主体で住宅を整備する。東側も具体的な時期は未定だが、市が用地を取得して造成を行った後、住民主体で住宅を整備する計画となっている。

 宮原地区は26・27年度に用地取得を行い、用地取得後に2~3年間で市が造成を行い、住宅整備も進めたい考え。造成事業は土地の造成のほか、区画道路や上水道も整備して、区画整備を実施する。汚水処理は、浄化槽の設置で対応していく。住民は補償費を活用して、移転先に住宅を整備する。

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