35年度末の開業へ 駅西側LRT事業 概算事業費は698億円(宇都宮市)

[2025/10/21 栃木版]

 宇都宮市のJR宇都宮駅西側のLRT(ライトライン)整備事業に伴う、軌道運送高度化実施計画案が明らかとなった。事業開始は工事施工認可申請の予定時期である2027年11月とし、運輸開始予定時期は当初の予定から変更して36年3月とする。事業費は、698億円と試算している。今後は、沿線関係者への説明や都市計画素案の縦覧などを経て、12月定例市議会で軌道整備事業実施に関する議案などを提出する見通し。

 JR宇都宮駅西側のLRT整備は、大谷観光地付近(L約8km)までを検討区間に設定している。また、安心して通勤・通学できる環境整備による利便性の向上、既存道路を活用した折り返し運行施設の確保が可能な区間として、宝木町1丁目・駒生1丁目付近(教育会館付近)までの延長4.9kmを整備区間に設定した。

 一方、芳賀町については芳賀町工業団地管理センター前停留場から祖母井市街地への延伸を検討していく。また県では、東武宇都宮駅周辺のまちづくりやLRTの広域的な交通連携に向けた検討を進めている。

 駅西側の停留所は、東から西へ順に▽JR宇都宮駅西口▽上河原▽宮島町十文字▽馬場町▽県庁前▽東武宇都宮駅前▽裁判所前▽新川▽桜通り十文字▽美術館前▽護国神社前▽教育会館前-の12カ所を構想しており、トランジットセンター(乗継拠点)はJR宇都宮駅西口・東武宇都宮駅前・桜通り十文字の3カ所を予定している。教育会館前の停留場付近には、留置施設や変電所などを整備する。

 東武宇都宮駅付近は、大通りと東武馬車道通りとの交差点と池上町交差点の間に東武駅前停留場の設置を構想する。停留場から東武宇都宮駅までの乗換動線では、雨に濡れない機能の確保(シェルター設置)、通勤・通学者等が滞在できる空間の創出(ベンチ・テーブル等の設置)、荷捌きできる空間の確保などの整備内容を検討している。今後、各関係者と協議・調整を行って、整備内容を具体化していく。

 桜通り十文字付近ではバスとLRTの乗継利便性向上を図るため、将来的な面的まちづくりの検討を進め、乗継利便性確保に向けた整備内容を具体化していく。

 軌道は平面区間が、基本的に既存の道路空間の中央に布設する。またJR横断部と田川渡河区間は、専用走行空間として橋梁等を整備する。軌道構造は、快適で低騒音・低振動の走行ができる樹脂固定による制震軌道構造を基本とする。停留場は、バリアフリー対応で整備する。車両数は、通常運行に必要な11編成と予備の3編成で14編成とする。

 概算事業費は698億円で、このうち測量費が1億7000万円(L2.5km)、用地費が142億円(A1万8159平方m)、土工費が5億3000万円(V2748立方m)、路面費(道路工事)が137億9000万円(A11万7246平方m)、橋梁溝橋費が141億8000万円(L865m)、軌道費(レール、分岐器、路盤)が70億9000万円(L4.9km)、停留場費(乗降場、上屋、電気工事)が167億円(12カ所)、諸建物費(車庫等)が7億3000万円(1カ所)、通信線路費が27億6000万円(L4.9km)、車両費が112億円(14両)、電力線路費が29億7000万円(L4.9km)、変電所費が5億1000万円(1カ所)となっている。

 LRT事業による直接効果は、CO2排出量削減等による環境改善などを、間接効果は地価上昇による資産価値向上などを挙げている。関連事業は▽トランジットセンターの整備▽トランジットセンターなどへのサイクル&バスライド用駐輪場の整備▽公共交通の案内サインの充実-などとなっている。

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