ナカニシが建築賞と環境賞 優良賞は真岡市複合交流拠点など4施設(マロニエ建築賞)
[2025/10/23 栃木版]
県建築指導課は22日、県内の優れた建築物を顕彰する「第37回栃木県マロニエ建築賞」の表彰作品を公表した。マロニエ建築賞および環境にやさしい建築賞は「株式会社ナカニシ新生産工場M1」(鹿沼市)が受賞し、優良賞には「真岡市複合交流拠点施設monaca」(真岡市)、「宇都宮短期大学付属高等学校 建替計画 新1号館及び職員室棟・自習室棟」(宇都宮市)、「白鷗大学足利中学校・高等学校」(足利市)、「巣のような家」(那須塩原市)の4作品が選ばれた。表彰式は11月26日午後2時から、県公館大会議室で開催する。
この賞は、県民の美しい景観に配慮したまちづくりに対する意識の高揚と建築活動の活性化を図ることを目的に、都市景観の形成、歴史・文化の創造および建築水準の向上などに寄与すると認められる建築物や建築物群を、県と県建築士会、県建築士事務所協会、県建設業協会、日本建築家協会関東甲信越支部栃木地域会、とちぎ建設技術センター、日本建築学会関東支部栃木支所の7団体の共催で毎年度表彰している。
表彰対象は▽意匠、形態等に優れ、文化性、芸術性を効果的に表現しており、将来のとちぎのまちをリードしていくような建築物▽地域の特性を生かした景観への配慮や優れた修景が施されているなど、まちづくりへの貢献が期待できる建築物▽高齢者、障害者等をはじめ、誰もが利用しやすいように配慮されており、利用者にやさしい雰囲気を作り出している建築物▽脱炭素社会へ向け、再生可能エネルギーの利用や省エネルギー化などの取り組みを行っている建築物-のいずれかに該当するもの。
今回は2022年4月1日からから応募の日までに竣工または改修した県内の建築物や建築物群を対象に、7月1日から31日までの1カ月間を募集し、35作品の応募があった。これを審査会(委員長:梶原良成宇都宮大学名誉教授)で現地調査と最終審査で選考して、表彰作品を選考した。
表彰式では各受賞作品の表彰に加え、「受賞作品を語る会」として受賞者によるスピーチや審査会委員との懇談を予定している。また表彰式にあわせ、11月28日から12月5日午後1時まで、県庁15階企画展示ギャラリーで応募作品のパネル展示会を行う。
受賞作品の概要は次の通り。(▽作品名(所在地)=[1]用途[2]建物概要[3]建築主[4]設計者[5]施工者[6]講評〔要約〕)
【マロニエ建築賞】【マロニエ建築賞 環境にやさしい建築賞】
▽株式会社ナカニシ新生産工場M1(鹿沼市下日向700)=[1]工場[2]S造、地上4階、延べ面積2万0465.79平方m[3]株式会社ナカニシ[4]MET株式会社[5]前田建設工業株式会社関東支店[6]歯科用ハンドピースの分野で世界トップシェアをもつ企業の新工場である。自然環境との調和や働く人たちの環境の向上、サスティナビリティへの取り組みなどについて、高度なレベルで達成した計画といえる。本県は大規模な工場が多く立地しており、その見本となるような質の高い建築物であることが高く評価された。
【マロニエ建築賞 優良賞】
▽真岡市複合交流拠点施設monaca(真岡市荒町5131外)=[1]図書館、子育て支援施設、地域交流施設、カフェ[2]S造、地上4階、延べ面積7144.87平方m[3]真岡市長 中村和彦[4]株式会社アール・アイ・エー、AIS総合設計株式会社、清水建設株式会社[5]清水建設株式会社東京支店[6]真岡市街地東部、市役所の斜向かいに位置する図書館・子育て支援を中心とした複合交流拠点施設である。設計・建設・運営を一括して発注するDBO方式の採用による体制で進められたことが特徴的であり、建物というハードウェアに止まらず、今後市民によって育てられていくことへの期待を含めて評価された。
▽宇都宮短期大学附属高等学校 建替計画 新1号館及び職員室・自習室棟(宇都宮市睦町1-35)=[1]学校[2]S造、地上3階(職員室・自習室棟)、地上7階(新1号館)、延べ面積9412.33平方m[3]学校法人須賀学園[4]株式会社竹中工務店[5]株式会社竹中工務店[6]宇都宮市街地西部に立地する私立高校のキャンパス再編計画である。一部既存校舎を撤去し、新たな2棟を挿入することで、将来への対応を目指している。既存のキャンパスに手を加えて、これからの時代にどのような学校としていくのか、新しく刷新していくもの残していくものの明確化が光る計画として評価された。
▽白鷗大学足利中学校・高等学校(足利市伊勢南町4-3)=[1]学校[2]RC造(一部S造、SRC造)、地上4階、延べ面積1万1395.74平方m[3]学校法人白鷗大学[4]株式会社山下設計[5]清水建設株式会社[6]足利駅に程近い渡瀬川に沿った敷地に建つ私立中学高校校舎である。限られた敷地条件を十分に生かし、活動的な教育の場として効果的かつ緻密に作り込まれた校舎となっていることが評価された。
▽巣のような家(那須塩原市)=[1]専用住宅[2]W造、地上1階、延べ面積101.30平方m[3]個人[4]株式会社川島真由美建築デザイン[5]株式会社オオバ工務店[6]黒磯駅から徒歩圏の住宅地に建つ戸建て住宅である。一つの大きな空間の中に様々な居場所をつくって、日常の家族の生活を包み込むまさに巣ごもり的な心地よさを感じる家になっており、プライベートな活動に重きを置く新しい時代のライフスタイルに対応する住宅として評価された。
