評価基準 底上げ検討 宮城県がCCUSの総合評価(日建連東北と意見交換)

[2025/10/22 宮城版]

大橋支部長

大橋支部長

齋藤土木部長

齋藤土木部長

 日本建設業連合会東北支部(大橋成基支部長)は20日、仙台市内で県土木部との意見交換会を開催した。県は建設キャリアアップシステム(CCUS)に関し、総合評価で加点評価しているものの、就業履歴の蓄積など実際の活用率が低いことを課題に挙げ、評価基準の底上げについて検討していることを明らかにした。現在は少しでもCCUSを使えば加点しているが、一定程度以上の使用にハードルを上げる考え。

 意見交換会には日建連から大橋支部長ら11人、県から齋藤和城土木部長ら7人が出席。主に▽安定的かつ持続的な公共事業予算の確保と発注の平準化▽生産性の向上▽働き方改革のうち完全週休2日の実現と時間外労働削減▽担い手確保のうち新規就労確保と現労働者の処遇改善への取り組み-の4項目について話し合った。

 あいさつで大橋支部長は日建連東北支部と東北地方整備局、東北各県との包括災害協定の見直し作業が進められていることについて触れ、「これは東北管内だけでなく、東北地方管外で発生した大規模災害についても要請に応じて緊急対応が行える枠組みとなる」と紹介。日建連として社会資本整備とインフラの老朽化対策への対応とともに、災害復旧への支援も引き続き行っていくとした。

 意見交換では予算の確保について、日建連が県に現状と課題、、解決策を質した。県は国土強靭化予算を最大限に活用し、必要な社会資本整備に取り組む意向を表明。資材価格や人件費の高騰などの対応は「国の第1次国土強靭化実施中期計画において予算編成過程で適切に反映される方針のため、必要な経費は事業に盛り込み、予算要求を行う」とした。

 発注の平準化については、県の平準化率が0.84で、全国平均の0.81を上回っていることに日建連が感謝を表明。その上で日建連は県の工期に関する余裕期間が、東北地方整備局のフレックス方式と同様なのかどうかを尋ねた。

 県は「90日間の余裕期間内で受注者が工事の始期を設定可能」と伝えるとともに、「終期の設定ルールは定めてないが、完成届を契約工期より早期に提出することで、実態としては東北整備局のフレックス方式と同様となる」と説明した。

 生産性向上のテーマでは、日建連が書類の簡素化や業務の効率化に関する県の取り組み状況を質した。県は書類の簡素化に関し、本年度から「書類限定検査モデル工事」を試験的に開始したことや、今後も試行拡大に向けて取り組む意向を伝えた。遠隔臨場は中間検査や完成検査で試行していることを伝え、試行を拡大しながら業務の効率化に努めると回答した。

 日建連はインターネット環境がよくない現場での電子化を進めるため、東北整備局が協議にて通信環境整備費を負担していることを伝え、県の対応を確認した。県は「通信環境を確保する必要がある場合は協議をお願いしてほしい」と応じた。

 完全週休2日の話題では、県が10月から国に準じて通期の週休2日の補正係数を廃止し、完全週休2日(土日)の補正係数を新設したことを報告。

 その上で、収入面や工程管理上の不安など、「週休2日制の定着にはなお課題があることは認識している」とし、特に天候や季節、交通量などに左右される「個別工事条件への配慮は不可欠であり、県としても引き続き適切な工期設定に努めるとともに、工期変更が必要になった場合には経費等の変更を含め設計変更ガイドラインに基づき適切に対応する」と述べた。

 担い手確保のテーマでは、日建連がCCUSの取り組み状況と今後の課題について質問した。県はCCUSの事業者登録状況と活用提案を加点評価し、普及促進に努めているとした。事業者登録の評価では、2024年度において応札者が加点された割合が落札者・非落札者ともに9割を超えていることも紹介した。

 一方で、就業履歴の蓄積など実際の活用率が低いことを課題に挙げ、「さらなる活用促進に向け、総合評価の評価基準の底上げについて検討している」と明かした。

 県の総合評価では現在、CCUSのシステム導入に加点し、少しでも活用すれば加点している。システムは入札参加企業の約9割が導入しているため、すでに差がつかない状況であり、引き続き加点対象とするかどうかを検討している。活用への加点は、一定程度以上に引き上げる方向で見直しを検討している。

 日建連は、CCUS活用で技能労働者の習熟度に比例した追加給与を支給している企業に対し、入札時の加点評価や工事成績評定での加点評価を行うことで、さらにCCUSが広まるとし、県の考えを聞いた。県はCCUSの機器導入に対する助成制度も含めて「国の取り組みを参考する」と回答するに留めた。

 意見交換の総括で齋藤部長は、県の通常予算が大震災前の2010年規模に戻っておらず、強靭化の補正予算でどうにか1000億円程度を確保している現状を紹介し、大規模災害に備えた社会資本整備などに必要な予算の確保に意欲を示した。併せて、担い手確保に向け、日建連などの業界団体と連携して建設業の魅力・役割発信に取り組むとした。

完全週休2日の実現や労働者の処遇改善などについて話し合った

完全週休2日の実現や労働者の処遇改善などについて話し合った

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