食肉センター再編へ調査 県北東部に3万平方m規模 建設費最大265億円(千葉県)

[2025/10/31 千葉版]
 千葉県は、県内5カ所の食肉センターについて、再編に向けた検討を進めている。成田空港を活用した食肉輸出の可能性などを検証し、県北東部に延べ3万平方m規模の新たな施設を整備する方向性が示された調査結果が明らかになった。建設費は最大265億円を概算している。

 県内には▽千葉県食肉公社(旭市)▽横芝光町営東陽食肉センター(横芝光町)▽印旛食肉センター事業協同組合印旛食肉センター(成田市)▽東庄町食肉センター(東庄町)▽南総食肉センター(睦沢町)──の5カ所があり、いずれも老朽化が進む。

 2024年12月から25年8月にかけて、輸出力強化に向けた食肉流通のあり方を調査した。海外需要を考慮し、成田空港を活用した航空輸送の可能性を検証。各国で異なる輸出認定の基準を踏まえ、食肉センターの施設水準や整備費用などを整理している。

 その結果、成田空港は牛肉冷蔵品の台湾など主要市場への輸出拠点、牛肉冷凍品の需要が拡大している東南アジアなどへの輸出拠点として、それぞれ機能していくことが求められるとした。

 肉用牛・養豚の生産地は県北東部に集積していることや成田空港の位置などを考慮し、県北東部で水源や排水先の確保が容易な場所に建屋面積3万平方m規模の建物が好ましいとしている。

 建設費は211億円~265億円を概算。その内訳は、建物本体172億円、造成39億円~93億円となっている。調査はデロイトトーマツリスクアドバイザリー合同会社(東京都千代田区)が担当した。

 県畜産課は、この調査結果を食肉センターなどで構成する協議会に報告し、輸出を視野に入れた食肉センターの再編に向けた検討を本格化する考えを示している。

 食肉センターは、肉畜の生産から食肉、内臓など副生物の流通、加工、販売まで一貫した産地体制の形成に向け、主体的役割を担う。21年4月に策定した「千葉県食肉流通合理化計画書」では、食肉センターの整備目標や食肉センター再編千葉県モデルなどが盛り込まれている。

 県内の肉畜生産は県北部が主産地となっているため、県北部に基幹となる食肉センターを配置し、そのほかの食肉センターが補完する形に再編する方向性が示されている。

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