県庁舎の再整備へ配置5案を提示(千葉県)
[2025/11/18 千葉版]
千葉県は17日、県庁舎の再整備を検討する有識者会議(座長・柳澤要千葉大学教授)の第2回会合を千葉市内で開き、新庁舎の施設規模や建物の配置パターンなどについて意見を交わした。本庁舎を大規模改修し、そのほかの建物を建て替える配置パターン5案を提示。年度内に基本構想・計画の中間案をとりまとめる方針だ。
本庁舎については、これまでの検討結果を踏まえ、大規模改修する方針を示した。一体的な機能向上など建て替えのメリットがあるものの、建て替えの時期をずらし、主要な庁舎の建て替えを交互に行うことで、将来を見据えた段階的で柔軟な対応が可能になるほか、財政負担の平準化も期待できるとした。
県庁舎の規模については、執務室や会議室、書庫・倉庫など執務機能(現況面積3万1324平方m)は、国の基準による試算や他自治体の事例などを参考に3万9900平方m~5万5900平方mを想定している。職員アンケートでは打ち合わせスペース不足などの意見が出されているという。
このほか、危機管理機能(同1673平方m)、県民サービス機能(同2543平方m)、議会機能(同4860平方m)、共用部分(同4万3244平方m)の面積規模を検討していく。
建物の配置パターンは、多角的に検討した22案をもとに[1]別棟(順次建て替え)[2]一体棟(高層)[3]一体棟・南庁舎残置[4]別棟(2棟同時施工)[5]一体棟(低層)──の5案を提示。このうち[3]~[5]案は羽衣公園を都川沿いに移転する計画となっている。
配置案[1]は、南庁舎別館と南庁舎を解体し、新庁舎(21階)を建設。本庁舎の大規模改修後に中庁舎を解体し、新議会棟(7階)を建設する。整備期間は13年程度を見込む。
配置案[2]は、南庁舎別館と南庁舎を解体し、高層の新庁舎(行政・議会一体棟、25階)を建設する。議会棟を解体し、本庁舎を大規模改修。中庁舎の解体後、庁舎間をつなぐデッキを建設する。整備期間は約10年を想定している。
配置案[3]は、羽衣公園を廃止し、新庁舎(議会・行政一体棟、20階)を建設。議会棟と南庁舎別館を解体し、本庁舎を大規模改修する。中庁舎を解体後、跡地に羽衣公園を移設する。整備期間は9年程度を見込む。
配置案[4]は、羽衣公園を廃止するとともに南庁舎と別館を解体し、新庁舎(19階)と議会棟(6階)の2棟を建設する。議会棟の解体や本庁舎の大規模改修を進め、中庁舎を解体して羽衣公園を移設する。整備期間は約10年となっている。
配置案[5]は、羽衣公園を廃止するとともに南庁舎と別館を解体し、新庁舎(行政・議会一体棟、14階)を建設する。議会棟の解体や本庁舎の大規模改修を実施し、中庁舎を解体して羽衣公園を移設する。整備期間は11年程度を想定している。
羽衣公園を含む敷地や庁舎の形状、機能の配置、外構計画などは配置計画をもとに、具体的な検討を進めていく方針だ。
委員からは「時期をずらして、庁舎を交互に建て替えるメリットを発信するべき」「次の建て替えを見据えた長期的な視点を」などの意見が出された。
再整備の基本構想・基本計画については、26年3月に予定されている第3回会合で、中間案の素案を示す方針。必要な機能や規模、事業手法などの検討を本格化し、26年度末の策定を目指す。基本構想・基本計画策定支援業務は日建設計(東京オフィス・東京都千代田区)が担当している。
千葉市中央区の県庁舎敷地内には、本庁舎、中庁舎、議会棟、南庁舎、南庁舎別館の5棟の建物がある。今後、10年から20年の間に建て替えや大規模改修の時期を迎えるため、県庁舎の一体的で効率的な整備が必要となっている。
既存施設の構造・規模は、本庁舎がS造地下2階地上20階建て延べ3万3476平方m、中庁舎がSRC造地下1階地上10階建て延べ2万3532平方m、南庁舎がSRC造地下1階地上10階建て延べ8526平方m、南庁舎別館がSRC造地下1階地上6階建て延べ7871平方m、議会棟がSRC造地下1階地上9階建て延べ1万0280平方m。敷地面積は2万1098平方mとなっている。
