4流域で基本設計 流域治水計画 調整池整備や河川改修(日立市)

[2025/12/2 茨城版]
 日立市は、2月に策定した流域治水計画に基づき、本年度は4流域の基本設計をまとめている。18流域23河川を盛り込んだプロジェクトマップで優先度「高」となったものから、被害が大きかった流域や人口密集地域などを対象に調整池整備や河川改修を進めていく。2026年度には詳細設計などに着手する計画で、1流域あたり最短でも5-6年程度をかけて整備を行うもようだ。

 流域治水計画は、23年9月の台風13号による市内の大規模な浸水被害を受けたもので、今後の治水に対する基本理念と治水対策のあり方を示している。計画期間は25-44年度までの20年間。ハード整備である河川改修から、多角的な施策となる流域治水への転換を図ることで、水害の軽減を目指す。対象は、市が管理する準用河川と普通河川の63河川(総延長約130.8km)で、優先度が高く市街化区域を流れる18流域23河川にはプロジェクトマップを作成し、対策を進める。

 プロジェクトマップの対象河川のうち、▽田尻川▽北川▽所沢川▽数沢川▽雨降川▽舟入川▽池ノ川▽大川▽南川尻川──の9河川流域は優先度「高」に指定されている。このうち8河川は水害リスク「大」とされ、数沢川では「氾濫をできるだけ防ぐ・減らす」対策として、上流部での遊水池・調整池整備や合流部の改修などの局所改修が盛り込まれている。

 本年度に基本設計をまとめているのは、▽田尻川流域▽舟入川流域▽池ノ川流域▽大川流域──の4流域。基本設計は田尻川流域をオリエンタルコンサルタンツ(東京都渋谷区)、このほかの3流域を日本インシーク(大阪府大阪市)が担当している。

 いずれも調整池・調節池・貯留施設の整備や河川の改修などを基本に整備を進めていく。調整池などについては、これまでも水の溜まりやすかった箇所などを対象に整備を行う。田尻川流域では、既存の田尻川調整池やかみあい調整池を拡張するほか、新たにJR上流遊水地や国道6号上流遊水地などの整備を計画している。このほか、狭窄部・屈曲部・護岸高・河川合流部などので局所改修を行う。

 舟入川流域では、会瀬調整池の機能拡張やJR上流遊水地の整備を行うほか、会瀬小学校や助川中学校の校庭に雨水貯留浸透施設を設置する。池ノ川流域では池の川駐車場に雨水貯留浸透施設を設置するほか、JRから河口間では河川の局所改修を行う。大川流域では、上流調整池の整備や河原子小学校と河原子中学校の各校庭への雨水貯留浸透施設設置、塚田川合流部改修などを行う。

 当面はこの4流域の整備を優先的に進めていく考え。その間に次の流域整備に向けた検討を行うもようだ。

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