国土強靱化に4084億円 インフラの老朽化対策など推進(国交省補正案)

[2025/12/2 栃木版]

 2025年度の補正予算案が、11月28日に閣議決定された。国土交通省関係では、補正予算の国費総額が3兆0557億円で、うち公共事業関係費は2兆0873億円、非公共事業費は9684億円。主な補正を見ると、防災・減災・国土強靱化の推進には、公共・非公共あわせて4084億3100万円を予算化。重要インフラの老朽化対策には同じく1753億6600万円、流域治水の推進には2756億1400万円を計上する。上下水道システムの地震対策・基盤強化では66億2500万円、道路交通環境や無電柱化の整備には193億6700万円、集団移転の促進には10億6800万円などを配分している。

 今回の補正予算は、11月21日に閣議決定された「『強い経済』を実現する総合経済対策」で取り組む施策として掲げられた▽生活の安全保障・物価高への対応▽危機管理投資・成長投資による強い経済の実現▽防衛力と外交力の強化-の3つの柱の実施に必要な経費を計上した。

 このうち「生活の安全保障・物価高への対応」では、住宅価格の高騰対策として公共事業費17億5200万円を配分し、住宅取得負担の軽減を図る。「交通空白」の解消等に向けた地域公共交通のリ・デザインの全面展開には、公共事業費で27億円、非公共事業費で352億0400万円を計上し、地域交通DXの推進や自動運転の事業化、ローカル鉄道再構築の取り組み等に対し支援する。

 生産性向上に資する道路ネットワークの整備等では、公共事業費717億4100万円を予算化し、広域交通拠点へのアクセス道路等を整備して地域を支える産業等の生産性向上に貢献する。道路交通環境や無電柱化の整備等の推進には、公共事業費193億6700万円を確保。通学路の交通安全対策等を引き続き推進するほか、無電柱化を推進する。

 建設産業・不動産業・運輸業の持続的成長のための市場環境整備等には、非公共事業費7億1500万円を計上する。建設産業については、第三次・担い手3法を着実に実行し、労務費の行き渡りの実効性確保、入職拡大に向けた魅力発信や災害対応力強化にも資するICT技術の活用等を推進する。

 「危機管理投資・成長投資による強い経済の実現」では、省エネ性能の高い住宅に対する支援で公共事業費1750億円と非公共事業費300億円を予算化して、「ZEH水準住宅」や「長期優良住宅」の新築、特に高い省エネ性能等を有する「GX志向型住宅」の新築および省エネ改修等への支援を実施する。

 インフラ、交通、物流等の分野におけるGXの推進等では、公共事業費99億8100万円と非公共事業費7億1800万円、および財政投融資95億円を投入して、道路照明のLED化等による道路施設の省エネ・再エネの活用、下水汚泥資源を活用した創エネや肥料利用に係る取り組みの支援などを実施する。

 安全な地域への集団移転の促進は、非公共事業費10億6800万円を投じて住居の集団移転を行う市町村を支援する。気候変動に対応する流域治水の推進では、公共事業費2755億5200万円と非公共事業費6200万円で、「流域治水」等の考え方に基づきハード・ソフト一体となった事前防災対策を加速化する。

 強靱で持続可能な上下水道システムの構築に向けた地震対策・基盤強化の取り組みの推進は、公共事業費66億2500万円を予算化し、浄水場や下水処理場等の耐震化および避難所などの重要施設に接続する管路施設の一体的な耐震化を図るとともに、官民連携、広域連携などを推進する。

 国土強靱化に資する道路ネットワークの整備・機能強化に関する対策には、公共事業費2122億1400万円と、非公共事業費20億3100万円を予算化。法面・盛土対策や無電柱化、道路橋梁等の耐震機能強化などの道路インフラ等の局所対策には、公共事業費で516億3000万円を計上する。

 河川・ダム、道路、都市公園、鉄道、港湾等の重要インフラに係る老朽化対策は、公共事業費1752億4800万円と非公共事業費1億1800万円を確保し、予防保全型インフラメンテナンスへの転換を図るため早期に対策が必要な施設の修繕等を集中的に実施する。

 地域における老朽化対策、防災・減災・国土強靱化の推進(防災・安全交付金等)では、公共事業費4074億9100万円と非公共事業費9億4000万円を予算化し、道路、上下水道施設、公営住宅等の老朽化対策や流域治水対策、国土強靱化に資する道路ネットワークの整備・機能強化に関する対策などに取り組む。

 このほか、国庫債務負担行為としてはゼロ国債に事業費777億円を設定し、効率的な公共事業執行を促進。また、第1次国土強靱化実施中期計画に基づく大規模事業等について、補正予算からスタートする事業加速円滑化国債に事業費1291億円を設定することで、計画的かつ円滑な事業執行を促進する。

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.