中橋工区継続を「妥当」 公共事業評価 全体事業費が103億円増(県公共事業評価委)

[2025/12/3 栃木版]

 県公共事業評価委員会(委員長・大澤和敏宇都宮大学農学部教授)は2日、県庁で本年度第2回の委員会を開き、県土整備部所管事業1件の再評価と、県土整備部所管事業3件、農政部所管事業2件の事前評価を行った。このうち、再評価案件の都計道家富町堀込線中橋工区は大規模事業となることから個別審議案件となり、委員から事業継続が妥当であるとの意見が提出された。また、都計道赤間々今中線外1路線の清原町工区、県道関谷上石上線の四区町工区、主要地方道西那須野那須線の上厚崎工区などについては中規模事業であり、事務局から事業の概要を説明して2026年度からの事業開始を報告した。

 県は、事業採択後一定期間が経過して未着工の事業や長期間経過して継続中の事業、再評価実施後一定期間が経過している事業、または社会経済情勢などの急激な変化、技術革新、事業計画の大幅な変更などで再評価の必要が生じた事業などで、公共事業の再評価を行っている。その際に、事業計画に大幅な変更があるものや推定便益・推定事業費の変更がプラスマイナス10%を超える事業などについては重点的な審議(個別審議)を実施している。

 都市計画道路3・5・102号家富町堀込線の中橋工区は、中橋付近で渡良瀬川の堤防高が不足しており、またJR両毛線を横断する宝来社街道踏切の前後で交通渋滞が発生しているほか、踏切部に歩道がなく安全確保が課題となっているため、国・県・足利市が連携して中橋の架替えとJR両毛線横断部の立体化を実施している。事業箇所は足利市通2丁目から南町までの延長644mで、21年度に事業着手して27年度の完成を目指している。

 今回の再評価では、全体事業費を103億円増額して、当初の107億円から210億円に変更する。このうち工事費の増額分は91億円で、内訳は建設資材や労務単価の高騰による工事費の増額が53億円、橋梁の下部工基礎の杭長延伸に伴う工事費の増額が31億円、3連アーチの移設工法の変更による工事費の増額が7億円となる。

 一方、用地補償費については物件補償費の精査による増額のほか、新たに宝来社街道踏切の迂回踏切設置箇所の取得費用も加えた結果、補償額を12億円増額して16億円とする。25年度末時点の進捗率は事業費ベースで39%の見通しで、引き続き27年度の完了を目指して事業を進めていく。

 委員からは事業費の大幅な増加に対しての疑問、積算に対する透明性や妥当性への指摘があり、県都市整備課は21年度以前に積算した状況から資材や人件費が大幅に上昇していること、工事内容も変更も詳細設計の前の段階では予期しない状況が生じるためやむを得ないなどと説明して理解を求めた。

 事業の事前評価は、総事業費10億円以上の事業について実施前に行っている。このうち、事業費30億円以上は審議案件、10億円以上30億円未満については報告案件となり、今回は全5件とも報告案件だったため事業内容を委員に報告した。

 県土整備部は、街路事業で都市計画道路3・4・11号赤間々今中線の清原町工区(日光市今市~荊沢)1055mの現道拡幅と歩道整備、電線地中化に26年度から着手する。事業目標期間は7年間で、総事業費は約28億円を見込む。

 道路事業は、県道関谷上石上線の四区町工区(延長4200m)と、主要地方道西那須野那須線の上厚崎工区(延長3000m)を報告した。いずれもミッシングリンクを解消し、国道4号と並行して機能を補完するとともに、東北道西那須野ICや那須ICと連絡して物流の効率化や観光の振興に資するものと期待される。事業目標期間はそれぞれ10年間で、総事業費は四区町工区が約28億円、上厚崎工区が約24億円を見込む。

 農政部は、農地整備事業(機構関連型)の玉田地区(鹿沼市)と、同事業(経営体育成型)の轟地区(日光市)の2件を報告した。いずれも区画整理工を実施して農地の大区画化を図り、担い手への農地集積や集約化を推し進める。

 玉田地区は区画整理工41.6haで、事業予定期間は26年度から34年度までの9年間、総事業費は16億円。轟地区は区画整理工43.1haで、事業予定期間は26年度から33年度までの8年間、総事業費は16億7000万円を見込んでいる。

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