概算工事費に43億円 陸上競技場の基本計画案(宮城県 石巻市)
[2025/12/3 宮城版]
石巻市は、市総合運動公園陸上競技場の基本計画案を示した。競技場の導入機能はメインスタンド、競技場、練習設備、器具庫、イベント交流広場などを選んだ。概算工事費(従来方式)は42億9770万円、概算調査設計費(同)は2億5168万円とした。事業スキームは従来方式ではなく整備・運営を一括発注するDBO方式を基本とする。同方式を採用した場合の事業スケジュールは、1年目で事業者を公募し、2年目で事業者を選定、3~5年目で設計・施工を進める想定となっている。
陸上競技場は南境字新小堤18のセイホクパーク石巻(市総合運動公園)に3種公認の競技場として新設する。基本計画案には基本理念や整備方針、求められる機能、整備内容、基本計画図、事業計画、想定する事業スキームなどを盛り込んだ。
整備方針には「市民が日常的に体を動かせる場の形成」や「被災した経験を生かした防災拠点の確立」など4つを掲げた。
導入機能のうち、メインスタンドは700席程度を確保する。内部には管理事務室、多目的室、更衣室、シャワー室、トイレ、放送室、写真判定室などを設ける。
競技場は走路、人工芝のインフィールド、その他競技設備、照明設備などで構成。走路はホームストレートで9レーン(曲走路で8レーン)を確保する。
練習設備は投てき練習場、傾斜走路、雨天練習走路を導入する。器具庫は150平方mの規模を3カ所に設置する。
これ以外に芝生スタンド、ランニングコース、イベント交流広場の配置を計画。駐車場は災害時の活動を考慮し、段差やタイヤ止めなどの障害物を極力設けない仕様とする。災害対応では太陽光発電機能付き街灯などの再生可能エネルギーを活用した設備を導入する。
事業計画では概算事業費を示した(別表参照)。従来方式における概算工事費を算出しており、什器・備品の1億5400万円を加えると、計44億5170万円を見込む。このほか、従来方式における調査設計費として建築に1億3805万円、土木に1億1363万円を試算している。
概算維持管理運営費は、従来方式の場合で年間2億0330万円とした。この中には既存施設の修繕費や陸上競技場の更新に係る改修費を含んでいない。
想定する事業スキームはDBOを基本とし、事業範囲に敷地基盤を含む整備部分と、公園全体の維持管理・運営部分を設定した。事業形態は整備部分がサービス購入型、維持管理・運営部分が混合型とする。事業期間は設計・建設が3年、維持管理・運営が約15年。
経済波及効果としては、陸上競技場の見込み来場者の消費によるものが年間2億8000万円、陸上競技場関連施設の建設に伴うものが約60億7800万円で、計約63億5800万円を見込んでいる。創出される雇用は、来場者の消費に伴うもので年間36人、建設に伴うもので464人としている。
今後は、年度内にパブリックコメントなどを経て基本計画を定める。事業の着手時期については、石巻地区広域行政事務組合が2026年度に新ごみ焼却施設の概算事業費を示すことになっているため、その事業費負担がどのくらいになるかを見極めた上で、判断する。
陸上競技場の整備に向けては基本計画の策定業務や、PFI導入可能性調査等業務をパシフィックコンサルタンツ(東北支社・仙台市青葉区)に委託した。

