約41haを区画整理 鹿沼市玉田地区 来年度から事業着手(県農地整備課)
[2025/12/10 栃木版]
県農地整備課は2026年度から、鹿沼市玉田町地内で農地整備事業(機構関連型)の玉田地区に着手する。農地中間管理機構関連の農地整備事業は県内5例目で、農地の大区画化やICT自動給水栓の導入、排水路の暗渠化、区画内道路の整備などで農業生産性を向上させるとともに、農地の集積・集約化を図る。事業期間は34年度までの9年間で、工事は28年度から33年度までの6カ年で実施する。総事業費は約16億円で、このうち工事費には約13億9000万円を見込んでいる。
県内5例目の機構関連型で
この地区は、鹿沼市東部の一級河川黒川右岸側に開けた平地に位置する水田地帯。これまで基盤整備が行われておらず、農地の区画は10aから30a程度と狭小かつ不整形なものとなっている。また、農業用道路は幅員2m程度の土砂道で狭く、農業輸送のすれ違いや大型農業機械の通行が円滑にできない状況。水路は用排兼用の狭小な土水路が多く、排水能力が不十分なため水田の汎用化が難しく、大雨時には溢水被害も生じている。
そこで県は、事業を実施することで農地の大区画化やほ場出荷に対応できる農道、ICTを活用した水管理システム、暗渠型排水路などの次世代生産基盤技術の導入、農地バンクを活用した農地の集積・集約化で、効率的な水田農業を行っていく。さらに、いちごハウスを集約して団地化を進めることで、効率性の高い農業経営を目指す。
事業の内容は区画整理工41.6ha(水田40.9ha、畑0.7ha)で、その内訳は整地工が41.6ha、用水路工が6.6km(開水路6.6km)、排水路工が6.6km(開水路3.4km、暗渠型水路3.2km)、道路工が6.7km(支線農道6.7km〔うち舗装1.6km〕)となっている。
農地整備にあわせて全ての農地に中間管理権を設定し、目標年度(39年度)までに担い手への農地集積98.3%(現況5.4%)、集約化89.9%(現況0%)を図る。さといもなどの露地野菜を導入して水田の汎用化を図っていくとともに、いちごは団地化を進め、効率的な農業経営を行っていく。
農地は40%を1ha区画、49%を50a区画にし、計89%を大区画化して大型機械導入による農作業の効率化を図る。また、ICT自動給水栓を導入して効率的な用水管理を図るほか、地区内に幅員6mの農道を導入することで大型トラックや大型農業機械の通行、搬入を可能とし、農作業の効率化を図る。いちご団地のエリアにも、幅員6mの舗装道路を整備して荷痛み防止を図る。
事業の予定期間は、26年度から34年度までの9年間で計画する。このうち設計は26年度後半から27年度までの2カ年でまとめ、工事を28年度から33年度までの6カ年で実施。34年度には、換地処分を行って事業を完了させる。
総事業費は、測量設計費が約3000万円と用地補償・換地費が約6000万円、換地費が約1億2000万円、工事費が約13億9000万円の計16億円を見込み、国が62.5%、県が27.5%、市が10.0%を負担する。
なお、環境配慮としては水路魚道工の設置や石積ワンド工の整備を行い、コスト縮減では道路工の敷砂利に使用する砕石を普通骨材から再生骨材に変えるほか、地区内舗装道路は既設利用とする。投資効果は、総費用が15億2000万円、総便益が20億8000万円で、費用便益比は1.35と算出された。
