来年10月にも入札公告 文化と知の創造拠点 PFI実施方針骨子案を説明(県文化と知整備室)
[2025/12/12 栃木版]
県文化と知の創造拠点整備室は10日と11日の2日間、「文化と知」の創造拠点整備運営に関す事業者説明会を開催し、PFIに基づく事業実施方針の現段階の骨子案を明らかにした。それによると、事業方式はBTO方式を採用し、設計・建設は2032年3月まで、運営・維持管理期間は33年3月から48年3月までの15年間を予定。事業者の選定はWTO対象の総合評価一般競争入札方式とし、26年2~3月に実施方針および要求水準書(案)を公表して、10月にも入札を公告する。落札者を決定は7月ごろで、基本協定締結後、落札者はSPCを株式会社として県内に設立する。
WTOの総合評価一般競争で
説明会に先立ち、文化と知の創造拠点整備室の松原由智室長は事業のこれまでの経緯を説明し、「この事業はPFIを前提として進める予定としており、整備構想の内容やPFIに基づく実施方針について確認する。事業に対する県の考え方をご理解いただき、参加をぜひとも検討していただきたい」と呼びかけた。
整備構想の概要の説明に引き続き、整備運営事業実施方針の骨子案を説明した。それによると、「文化と知」の創造拠点は県立の美術館、図書館、文書館を県の文化振興の中核を担う複合施設として再整備するもので、事業は施設の設計、建設、運営および維持管理を一体的に行う。事業コンセプトは「とちぎの『文化と知』を開く・つなぐ・育む拠点」とする。
事業方式は、PFI法に基づき選定された民間事業者が施設の設計と建設を行った後、県に所有権を移転し、事業期間中、施設の運営・維持管理を行うBTO(Build-Transfer-Operate)方式で行う。
事業期間は、設計・建設期間が契約締結日から2032年3月まで、開館準備期間が32年3月から33年3月までで、運営・維持管理期間は33年3月から48年3月までの15年間を予定する。
事業範囲のうち、必須となるのは▽統括マネジメント業務▽設計・建設業務▽開館準備業務▽運営業務▽維持管理業務-となり、このほか任意で▽運営自主事業▽利用促進事業-も実施できるものとする。
特定事業とするかについての基準は、県がPFI事業として実施することで、従来方式に比べ県の財政支出額の縮減が期待できる場合、または県の財政支出額が同一の水準でも公共サービス水準の向上が期待できる場合に選定する。
民間事業者の募集は、入札価格に加えて事業計画の妥当性、各業務に関する業務遂行能力などを総合的に評価する、総合評価一般競争入札方式で行う。なお、この事業はWTO政府調達協定の対象事業となる。
スケジュールは、26年2月から3月に実施方針および要求水準書(案)を公表し、3月下旬に説明会と現地見学会を開催する。特定事業の選定・公表は8月ごろの予定で、10月にも入札を公告し、11月ごろ参加表明書を受け付ける。27年1月ごろと3月ごろに意見交換会を開催し、5月ごろ提案書の受け付けを締め切り、7月ごろに落札者を決定・公表して、同月に基本協定、10月ごろに事業契約をそれぞれ締結する。
入札参加者は企業等によるグループとし、その構成はSPC(特別目的会社)に出資を予定しSPCから直接業務を受託または請け負う「構成員」、出資を予定せずSPCから直接業務を受託または請け負う「協力企業」で構成する。
構成員または協力企業として▽統括マネジメント業務▽設計業務▽建設業務▽工事監理業務▽維持管理業務▽運営業務-に当たる者を含め、同一者が複数の業務に当たることを妨げない。ただし、建設業務と工事監理業務に当たる者は、同一の者が兼ねること、または資本面か人事面で関連がある者が行うことはできない。
提案書の審査では、学識経験者などで構成する選定委員会を設置し、選定結果を踏まえて落札者を決定する。県は落札者と基本協定を締結し、基本協定に従い落札者は事業契約(仮契約)締結までにSPCを株式会社として県内に設立する。なお仮契約は、県議会の議決を経て本契約となる。
新たな施設は、宇都宮市中戸祭1丁目の敷地面積約3万3630平方mに整備する。美術館には展示室や収蔵庫、ワークショップ室など、図書館には公開書架・閲覧室、書庫、学習室など、文書館には展示室、閲覧室、収蔵庫、研究室などと、共用部分としてエントランスや講堂、ショップ、カフェ・レストランなどを設け、延床面積を約3万平方mから3万6000平方mと想定する。
なお、この骨子案は現段階の県の考え方をまとめたもので決定された内容ではなく、今後、寄せられた意見や要望などを踏まえてさらに検討を重ね、本年度末を目途に実施方針等を策定していく予定としている。
