他病院と総合病院化 老朽化踏まえ速やかに再整備を(県立病院あり方会議)
[2025/12/17 栃木版]
県医療政策課は15日、県庁で第2回県立病院あり方検討有識者会議(委員長:小沼一郎栃木県医師会会長)を開催した。今回は、県立病院の今後のあり方・方向性の案を事務局から示し、各委員から意見を聴取した。案によると、県立病院の総合病院化が必要であり、がんセンターと岡本台病院の老朽化の状況を踏まえ、速やかに再整備に向けた整理を進めていきたいとしている。委員からは、宇都宮市内の公的医療機関との統合による総合病院化を図ることで、総合内科的な病院を目指すことで意見が概ね一致した。
この会議は、がんセンターとリハビリテーションセンター、岡本台病院の県立3病院のあり方を検討するため、県内の医療関係者や学識経験者から意見を聴取するため設置された。
第1回会議では、現在担っている県立病院の専門的な診療機能(がん医療、リハビリテーション医療、精神科医療)に加え、救急医療や災害医療、新興感染症、併存症患者への対応などを踏まえ、「県立病院の総合病院化」が必要としたほか、整備方法は宇都宮市内の公的病院との統合再編を考えることも考えられると意見した。
これらの意見も踏まえ、今回は事務局から県立病院の今後のあり方・方向性の案を提示。総合病院化の進め方では▽各県立病院を総合病院化▽県立病院のみの統合による総合病院化▽県立病院以外の病院との統合による総合病院化-の3パターンを示した。
各パターンの比較で、「各県立病院を総合病院化」は老朽化したがんセンターと岡本台病院を別々に整備する場合、財政負担や人的負担から同時整備は困難であり、整備が大幅に遅れると見込まれる。
「県立病院のみの統合による総合病院化」は、スケールメリットを生かした経営の効率化や、老朽化した両病院の同期整備が可能。「県立病院以外の病院との統合による総合病院化」は、統合の調整等に一定の時間を要するが、他のパターンに比べ診療機能の強化や統合相手方に従事している医療従事者の確保などでメリットが見込まれる。
今後のあり方、目指すべき方向性の案では、診療機能について現在の県立病院が担う専門的な役割を今後も一定程度担っていく必要があり、併存症患者への対応や政策医療の重要課題への対応のため、県立病院の総合病院化が必要であると整理している。
整備場所は、他の医療機関との地域バランスや地域医療構想を踏まえながら、また病床規模については現在の病床数より削減することを基本に、将来を見据えた利用需要等を踏まえながら検討を進める。
総合病院化の進め方は、がんセンターと岡本台病院の老朽化の状況を踏まえ、速やかに再整備に向けた整理を進めていきたい考え。また、経営の効率化等の観点を踏まえ、リハビリテーションセンターも含め県立病院の同一法人化を図ること、人材確保のために魅力を備えた病院を整備することを目指していくとしている。
ここまでの整理を踏まえ、委員に「総合病院化の進め方はどのような形が適当か」「仮に他の総合病院との統合を検討する場合、再編統合の相手方として宇都宮市内の公的4病院も含めどのような病院が適当であるか」「県立病院の今後のあり方・目指すべき方向性案の内容について」の3点について意見を求めた。
このうち「総合病院化の進め方」については、大多数の委員が県立病院以外の病院との統合による総合病院化が妥当だとの意見で概ね一致した。また、岡本台病院は引き続き独立したうえで、合併症のある精神救急患者に対応できるよう新病院に隣接して整備するよう求める意見があがった。
再編統合の相手方は、専門的な診療機能を維持しながら総合内科的な病院を目指し、あわせて2次救急医療への対応も期待できることから、宇都宮市内の公的医療機関と統合を目指すべきとの意見が大勢を占め、中にはNHO栃木医療センターとの統合を推す声も上がった。
今後は今回の意見も踏まえ、来年2月か3月に開催予定の次回有識者会議で県立病院の今後のあり方・方向性を取りまとめる予定となっている。
