来年度から業者選定 新衛生センターの整備で(栃木市)

[2025/12/20 栃木版]

 栃木市は、し尿処理施設「衛生センター」の整備基本計画案をまとめた。それによると、現施設の敷地内に単独処理方式の新施設を建設し、水処理方式は脱窒素処理方式、資源化方式は助燃剤化方式を採用する。2026年度に造成設計をまとめ、26年度から27年度にかけて整備業者を選定。27年度から造成工事、28年度から30年度までの3カ年で建設工事を行い、31年度からの新施設稼働を目指す。

 栃木地区・大平地区・都賀地区・西方地区のし尿を処理している衛生センターは、1980年3月に城内町地内で稼働を開始した。敷地面積は1万6339平方mで、水処理棟、受入・貯留棟、車庫倉庫、管理棟などで構成。受入と前処理を行う受入貯留棟は1980年3月、し尿分解を行う水処理棟は1995年12月に稼働した。処理方式は高負荷脱窒素処理方式で、施設規模は1日あたり75㎘となっており、処理水は一級河川巴波川に放流し汚泥等は資源化している。

 市は、現在佐野市衛生センターで実施している藤岡地区と岩舟地区の処理も合わせて、市内全域のし尿処理を新施設で実施する方針。また、大平地区と西方地区の農業集落排水施設の汚泥も収集処理し、資源化を図る。

 新しいし尿処理施設の整備予定地は現在の衛生センターの敷地内で、敷地南西にある旧処理施設の解体跡地とする。

 し尿処理施設の整備にあたっては▽施設の有効利用▽合理的な全体配置計画▽全体作業動線の適正化▽周辺環境との調和▽再資源化、処理残渣量▽搬入し尿等の質的量的変動対策▽二次公害防止▽寒冷地対策▽景観対策▽災害対策▽脱炭素対策(再エネ、ZEB化)▽カーボンニュートラル-に配慮する。

 水処理方式は比較検討した結果、浄化槽汚泥の混入比率の高い脱窒素処理方式を選定した。資源化方式も比較検討し、助燃剤化方式を採用する。計画処理量は、1日あたりし尿が7㎘、浄化槽汚泥が68㎘、農集排汚泥が10㎘となっている。

 処理設備は、し尿等を受入計量設備(計量装置、受入室、受入前室)で受け入れ、受入貯留設備(沈砂槽、受入槽)で沈砂やきょう雑物を除去する。前凝集分離設備で固形物の除去や資源化を行って貯留槽に送り、主処理設備(硝化・脱窒素槽)で高負荷脱窒素処理を行って高度処理設備へ送る。高度処理を行った後は消毒設備で消毒し、放流設備で処理水を巴波川へ放流する。

 新施設では、井水を取水して受水槽に貯水し、処理プロセス用水などに活用する。施設の生活用水は、上水を活用する。浄化槽の漲水として、搬入車両が井水を取水できる漲水水槽や取水配管も場内に整備する。

 建物は耐震性に配慮した地下1階・地上2階建てで、全設備・装置は屋内収納形式とし、騒音・振動・悪臭等の施設外への飛散を防止する。また、再生可能エネルギー導入も計画する。

 処理部は、地下1階にポンプ室、ブロワ室、倉庫などを、地上2階に受入室、受入前室、水槽上部室、ホッパ室、沈砂除去室、倉庫、工具工作室、薬品ヤード、薬品庫などを配置。地上2階には前処理設備室、資源化設備室、脱臭設備室、脱臭ファン室、ホッパ上部室、薬品庫、倉庫、電気室(受変電室)などを配置する。

 管理部は、地上1階に玄関、風除室、廊下、トイレ、受入監視室、収集車運転手用トイレなどを配置するほか、玄関ホール・ロビー・エレベータを必要に応じて設置する。地上2階は、事務室(中央監視室に含めることも想定)、会議室(30人程度)、作業員控室(必要に応じて設置)、休憩室(8畳程度)、トイレ、浴室またはシャワー室、更衣室、給湯室、洗濯室、書庫、物品庫、給湯室、中央監視室、水質試験室などを設ける。

 施設の建設スケジュールは、28年2~3月に工事を発注し、28年3~5月ごろに実施設計、28年10月に工事に着手。試運転や性能試験などを経て、31年3月の竣工を構想している。

 建設予定地は市のハザードマップで浸水想定区域となることから、盛土などの安全対策を実施する。施設配置の基本的な考え方は、処理棟を敷地のほぼ中央に配置し、周囲に周回道路を整備する。日照を考慮し、可能な限り処理棟の南側または東側に管理部関連の居室を配置する。

 事業方式は現在、PFI等導入可能性調査を行っており、調査結果を基に決定する。概算事業費はプラントメーカーの見積額から51億3000万円と想定しているが、詳細な仕様が確定した際に再度見積りを行い、予定価格等に反映させる。

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