再構築計画が認定 延伸など10年で事業費148億円(海浜鉄道湊線)
[2025/12/23 茨城版]
ひたちなか市やひたちなか海浜鉄道などが計画する湊線の延伸計画で22日、申請を行っていた「湊線鉄道事業再構築実施計画」が国土交通省関東運輸局からの認定を受けた。計画期間は2026年4月1日から36年3月31日までの10年間。具体的施策では、▽路線延伸等による利便性の向上▽安全・安心な輸送サービスの提供▽その他沿線地域関係者等による利用促進活動等──に総額148億2000万円を投じる。延伸計画では、26年度から詳細設計や地質調査などに着手する。
実施計画の対象区間は、既存区間の11.3km(11駅)と延伸区間の3.1km(2駅)を合わせた勝田駅から新駅までの全区間17.4km。事業構造では、引き続き海浜鉄道が事業者として運行と鉄道施設等の維持管理を担い、市は県とともに、鉄道施設等の設備更新及び維持・修繕に要する費用の全額を負担していく(みなし上下分離方式)。あわせて、路線延伸など利便性向上に係る整備費についても、市が県の支援を受けながら一部を負担する。
具体的施策のうち、鉄道施設の整備等による利便性向上には126億5000万円を充てる。主な内容は、国営ひたち海浜公園西口付近への延伸と、阿字ヶ浦駅の列車交換設備の整備、キャッシュレス券売機の導入など。
このうち、延伸計画は阿字ヶ浦駅から新たに設置する国営ひたち海浜公園前までの総延長約3.1kmで計画。24年3月には当初の基本計画を変更し、同年11月に先行整備する第1工区(延長1.4km)について、国土交通省から工事施行認可を得た。
計画では、区画整理事業内の国営ひたち海浜公園南口付近に設置する新駅1までの延長1.4kmを第1工区(阿字ヶ浦駅-新駅1)として先行整備する。これにより、海浜公園来園者の利便性の高まりや、工業団地通勤らによる利用者増を見込んでいる。
延伸に係る総事業費は約126億4100万円を試算し、このうち第1工区には59億2300万円を投じる。計画期間は25-29年度の5年間。測量や詳細設計、工事などは海浜鉄道が主体となって進め、市では財政的な支援を行う。第1工区の開業時期は30年春を見込んでいる。
このほか、阿字ヶ浦駅の列車交換設備の整備では、那珂湊駅と阿字ヶ浦駅間において同時に複数の列車が運行できるようにすることで、輸送力強化や柔軟なダイヤ設定が可能となる。国内外の観光客の受入環境を整備するため、多言語表記やクレジットカード等の各決済に対応するキャッシュレス券売機を主要駅(那珂湊駅、新駅1、新駅2)に導入。那珂湊駅構内トイレは洋式化を図っていく。
このほか、安全・安心な輸送サービスの提供には21億8000万円を投じる。乗り心地の改善や軌道の安全性の向上を図るため、レールの重軌条化や老朽化した道床・分岐器の更新、信号警報器等の踏切保安設備の更新を進めていく。
計画の認定に当たり大谷明市長は、「本市のまちづくりにとって大きな前進」と述べたうえで、「今後、延伸事業などのを計画的に進めていくため、引き続き国の支援を得られるよう取り組んでいきたい」などとコメントしている。
