用地確保へ共同声明 成田空港の機能強化(新増設推進協)
[2025/12/25 千葉版]
国や県、空港周辺自治体、成田国際空港(NAA)は24日、成田滑走路新増設推進協議会の会合において、成田空港の更なる機能強化の推進に関する共同声明を採択した。供用開始予定である2028年度末まで3年余となり、今後工事を進めていくためにも早急に残りの用地を確保する必要があることから、事業用地の提供について地権者の協力を求めている。年明けに持参するなど未契約の地権者に届け、早期の用地確保を目指すことにしている。
共同声明では「更なる機能強化」の意義を強調し、400回以上にも及ぶ説明会を開催するなど国や県、地元市町、NAAが一丸となって取り組んでいることを説明。用地の提供について格別の協力を要請している。
11月末時点の用地確保率は86.9%で、9月末時点と比べて0.7%上昇したものの、今年度末とする目標が達成できるか、未だ見通せない状況にある。交渉が難航している理由として、補償の考え方の相違、相続手続きの未了、希望する代替地が見つからないなどがあるという。未契約の地権者数は非公表。
協議会は、C滑走路の新設とB滑走路の延伸に向け、必要な用地確保の具体的対策を検討するため5月に設置された。今回は10月に続いて4回目の会合となる。
会議には、国土交通省航空局の宮澤康一航空局長、熊谷俊人知事、小泉一成成田市長、麻生孝之芝山町長、平山富子多古町長、NAAの藤井直樹社長が出席、冒頭以外は非公開で開催した。
取材に応じた藤井社長は、「更なる機能強化の重要性を伝えながら早期に協力いただけるよう全力で取り組む」と表明、熊谷知事は「3カ月と残された時間は短いが、関係市町と連携し、できる限りの協力をしていきたい」と述べ、用地確保の加速化に期待を示した。
なお、新たな試みとして10月から実施しているオープンハウスには8カ所で885人が来場、地域に寄り添った対応を求める意見などが寄せられている。
「新しい成田空港」構想におけるマスタープランについては、新貨物地区の委託事業者を選定する企画競争型公募の手続きを進めており、新旅客ターミナルについても年度内に発注する予定だ。
