来年度から工事着手 菊沢川改修で事業費33億円増(県河川課)
[2026/1/20 栃木版]
県河川課は、安全な川づくり事業で実施している一級河川菊沢川の河川改修事業について、全体事業費を33億円増額し、62億円に変更する。労務・資材単価の高騰への対応のほか、国道50号との交差部を開削から地下掘削に工法変更し、東武佐野線の橋梁の橋脚にも巻き立てによる補強工事を追加したため。残事業費は59億5000万円の見込みで、引き続き2026年度から用地取得のほか工事にもに着手する予定としている。
菊沢川は、佐野市栃本町から佐野市街地を流下して、一級河川渡良瀬川に合流する流域面積8.5平方km、管理延長13kmの河川。このうち、佐野市船津川町から田島町までの延長3300m区間は川幅が狭く著しく流下能力が不足しており、関東・東北豪雨や東日本台風の際には家屋や農地などに浸水被害が発生している。
浸水被害の軽減を図るため、県は20年10月に第3回変更を行った渡良瀬川上流圏域河川整備計画に基づいて23年度に事業にに着手。川幅を約26mにまで広げるとともに川底を掘り下げ、渡良瀬川合流部から東武佐野線橋梁までを毎秒70立方m、東武佐野線橋梁から国道50号橋までを毎秒50立方m流下させ、概ね5年に一度の割合で発生する洪水流量を安全に流下させるよう整備していく。
今回は事業計画を見直し、全体事業費を当初の29億円から62億円に33億円増額する。内訳は工事費が32億6000万円増えて60億4000万円、用地補償費が4000万円増えて1億6000万円となる。
工事費の増加分は、労務・資材単価の高騰よるものが4億7000万円と、国道50号との交差部の函渠新設における道路管理者との協議による工法変更で22億1000万円、鉄道管理者との協議による橋梁補強の追加で5億8000万円。用地補償は、用地調査の算定結果から増額する。
国道50号との交差部では、現況の西側に河川を付け替える法線を採用し、施工にあたっては国道50号の北側に迂回路を設置したうえで、国道を開削してボックスカルバートを設置する工事を想定。国道50号の4車線のうち2車線ずつ切り回して、施工完了後に段階的に車線を変えながら通行を確保する予定だった。
事業着手後に国土交通省と協議した結果、切り回しの回数を減らして通行への影響を最小限にする必要が生じたため、4車線を一括して切り回すよう変更。迂回路も地盤改良が必要となり、これらに約10億円の増加が見込まれた。
また、国道50号の地下に光ケーブルが敷設されているため、これの移設に約7億円を試算した。さらには迂回路の安全施設など架設物にも約5億円を見込み、開削で工事を実施すると23億円ほどの増額が見込まれ、施工期間も4年ほどかかることが分かった。
そこで代案として、国道50号に迂回路を設けず現道の通行を維持したまま地下を掘削する案を検討すると、工事費が22億円相当との試算結果が出た。また工事期間も3年で施工することが可能と見込まれることから、沿川の産業団地の分譲に合わせて早期に完成させるためにも地下掘削案を採用する。
橋梁については河道掘削にあたり、大正元年に架設された東武佐野線の鉄道橋の橋脚が当初の想定よりも浅かったことが試掘により判明し、橋脚を補強するための鋼矢板による巻き立てを実施することから増額する。
現在の進捗状況は、工事・用地ともに未着手で、事業全体の進捗率は4%。残事業は、河川の掘削・築堤に16億3000万円などあわせて59億5000万円を見込んでいる。今後は26年度から用地取得と工事に着手する予定で、目標事業期間の39年度までの事業完了を目指していく。
なお沿川では、佐野市が国道50号沿線開発事業として(仮称)50号田島インター産業団地(約15ha)を整備しており、30年度の分譲を目指している。
