地価が14年連続で上昇 物流系の工業地需要高い(26年 地価公示)

[2026/3/18 宮城版]
 2026年の地価が公示された。本県の地価は全用途の平均変動率がプラス3.4%となり14年連続で上昇した。上昇幅は前年のプラス4.5%より縮小した。不動産鑑定士の西山敦氏(西山総合鑑定所)によると、仙台市の中心商業地はオフィス需要が安定し、飲食や小売の新たな店舗、ホテルの進出の動きもある。県内の工業地の動きは活発で、特に物流系の土地需要が高い傾向にある。

 公示された地価は、県内33市町村における1月1日時点の価格。都市計画区域がない七ケ宿町と色麻町は除く。調査地点は前年度と同数の575地点。

 用途別の調査地点は▽住宅地が411地点▽宅地見込み地が2地点▽商業地が148地点▽工業地が14地点──で、このうち551地点が前年度と同じ場所(継続地点)。

 継続地点のうち、380地点は地価が上昇した。内訳は仙台市が286地点、仙台市周辺市町村が79地点、その他の市町が15地点。上昇地点数は前年より32地点減った。

 横ばい地点は54地点で、前年より18地点増加した。下落地点は117地点で、前年より4地点増加した。

 地域別の全用途では、仙台市の平均変動率がプラス5.5%、仙台市周辺市町村がプラス4.3%で、ともに14年連続の上昇。その他市町村はマイナス1.1%となり11年連続で下落した。

 仙台市と仙台市周辺市町村の上昇幅は前年よりも縮小し、その他の市町村の下落幅は前年より拡大した。

 西山氏は「仙台圏の上昇が県内内陸部や沿岸部の下落を補う形が近年継続し、2極化している。ただ、住宅地、商業地、全用途とも上昇率は縮小し、仙台圏で特にそれが顕著な流れ」と分析した。

住宅地の上昇率全国7位に後退

 県内の住宅地は平均変動率がプラス2.8%となり、14年連続で上昇した。ただし、前年のプラス4.2%に比べ上昇幅は縮小した。上昇率は全国で7位。昨年は5位だった。

 仙台市の平均変動率はプラス4.3%で、14年連続の上昇。上昇幅は前年のプラス6.3%に比べ縮小した。

 西山氏によると、仙台市は子育て世帯を中心とする住宅取得意欲が高いままで推移しているが、建築費の上昇で価格的に上限値に近づいている中心市街地から、利便性が同等の広範囲な地域へと用地需要が拡大する動きや、郊外でも中古住宅を求める動きが見られるようになっている。

 青葉区はマンション用地のまとまった土地が少なくなり、建築費が高騰する中でデベロッパーの激しい用地取得競争が続いている。大型プロジェクトは、レーベン仙台定禅寺通(本町1丁目)でRC造19階建て252戸が2029年竣工予定となっている。

 東北学院大学五橋キャンパスに隣接する五橋地区や、イオンモール仙台上杉に近い東北大学雨宮キャンパス跡地周辺は需要が高くなっている。

 市町村別の平均変動率では、多賀城市がプラス7.1%で最も上昇し、南三陸町がマイナス3.8%で最も下落した。

 最高価格地点は仙台市宮城野区-38(小田原弓ノ町)の1平方m当たり66万9000円で、4年連続の最高価格地となった。最も上昇した地点も同地で上昇率がプラス12.1%。最も下落した地点は宮城大崎-9(岩出山字浦小路)で、下落率がマイナス5.9%だった。

商業地は仙台市が再開発機運後押し

 県内の商業地は平均変動率がプラス4.6%で、13連続の上昇となった。上昇幅は前年より縮小した。上昇率は全国8位で、昨年と同じ順位。

 仙台市の平均変動率はプラス7.8%となり、14年連続で上昇。上昇幅は前年より縮小した。市町村別の平均変動率は名取市がプラス8.5%で最も上昇し、気仙沼市がマイナス5.4%で最も下落した。

 最高価格地点は仙台市青葉区5-1(中央1丁目)の1平方m当たり488万円で、44年連続の最高価格地となった。

 最も上昇した地点は仙台若林5-1(新寺1丁目)で、上昇率がプラス15.3%。最も下落した地点は宮城大崎5-6(鳴子温泉字湯元)で、下落率がマイナス5.5%となった。

 仙台市の商業地について西山氏は「都心再構築プロジェクトとして高機能オフィスへの建て替えに助成する制度を市が進めており、再開発機運を後押ししている。一方で、開発が中断もしくは遅延している商業施設も残る状況にある」とした。

 主な開発の動きは、仙台駅西口青葉通りの読売ビルの建て替えが10階建て延べ4万2000平方mで29年完成予定。一番町2丁目のユアテック旧本社跡地のオフィスビル建築が14階建て延べ1万4983平方mで29年完成予定。SS仙台ビル等(一番町4丁目)の敷地面積1821平方mで解体・新築の発表がある。

 一方、ファッションビルの仙台フォーラスの解体、仙台駅西口における商業施設EDENの敷地内での温泉掘削検討、旧さくら野百貨店の解体など、「スクラップ」が進み始めたが「ビルド」が停滞といった状況にもある。

 宮城野区の仙台駅東口エリアは開発意欲が高く、西口と比較して未だ地価水準に割安感がある。若林区は仙台工業団地の跡地(六丁の目元町)では、大規模商業施設と大規模マンションの建設計画が進行中となっている。

工業地で動き活発

 県内の工業地については、仙台圏の高速道路網が発達しているため、東北各都市と首都圏を結ぶ中継地点として大型物流拠点の新設が見られ、新たな工業団地の造成計画の動きも多くなっている。

 なかでも仙台泉9-1(泉区明通3丁目9)は変動率が20%で、県内の上昇率第1位となった。

 主な工業地の平均変動率は仙台市の宮城野区がプラス17.1%、若林区が同17.4%、泉区が同20%、岩沼市が同5.3%、石巻市がマイナス1.1%など。

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